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平成29年 仕事始め式における学長メッセージ

印刷用ページを表示する 掲載日:2017年1月6日更新

 明けましておめでとうございます。新年の仕事始めにあたり,ご挨拶を申し上げます。

 爽やかな朝の空気の中,広島,庄原そして三原の各キャンパスにおきまして今ここに仕事始めの朝を迎え,新たな2017年の業務活動が一斉に開始されました。

本年の干支は酉,酉という漢字は音読みではユウと発音し,訓読みでトリとなります。酉の市などの用語で酉の文字を目にすることもあるかと思いますが,普段はあまり使われていない漢字です。しかしこれに三水(さんずい)をつけると,おなじみの,私にとって字を見るだけで顔がゆるむ,酒という漢字になります。酒の部首は三水と考えがちですが,実は「ひよみのとり」,いわゆる右側の酉の部分にあるとのことです。それでは酉は何を意味するのでしょうか,調べてみますと形から想像できるように酒を盛った口の細い酒壺を意味しており,果実が極限まで熟した状態,物事が頂点まで極まった,実りを表すとされていることが分かりました。 

 開学後12年,酉年で始まった本学は,本年3月を持って12年,十二支においても一回りの齢を経たことになりました。2017年から始まる更なる12年,本学はどのような果実を作り,発酵と熟成を社会に醸し出していくべきかについて,酉年の初めに,あらためて皆さんと考えてみることにします。

 2017年,大学に職を持つ私達は,迫り来る2018年の前年であることを,否応なく意識せざるを得ません。いわゆる2018年問題。それは少子化という避けることのできない現実の前に,私達大学を取り巻く環境が,さらに厳しい状況に晒されることを意味しています。2018年からは確実に毎年,4万人の18歳人口の減少が生じます。現在,大学入学志願者が約50%であり,この値がほとんど増加する見通しではないことを踏まえると,2万人もの受験生が減少することになり,これは,平均的私立大学40校分の入学定員が年毎に失われることを意味しています。決して生半可な数字ではありません。加えて,財政難による運営費交付金の削減を同時に受けるという厳しい現実が,国公私立全大学に降りかかってくることを,私達構成員はしっかりと受けとめ,組織一体となった対応が求められます。

 昨年末,北大教職員組合がツイッターで「北大でこの惨状」と題し,5年間で教授205名分の人件費削減の執行部提案を伝えたつぶやきが朝日新聞に掲載されています。同じ記事には,高知大学が定年退職者の補充はもちろんのこと,昇任についても停止することに加え,教員1人当たりの自由な研究費が11万3千円に留められている現状が記されています。つまり新学部・学科を作る中での資金の拡大枠を苦労しながら捻出しなければならなりません。

 このように大学を取り巻く環境が厳しくなる中で,2018年問題を乗り切る,いや勝ち抜き,県民の付託に応える県立広島大学の姿を示していくことが私達の当然の責務として課せられています。2017年は,そうした新たな盤石な大学の構築に向かって,高らかに槌音を響かす年であることを,私達構成員がしっかりと認識する必要があります。そうした現状において今ここで強調したいことは,私達県立広島大学は,既にゆるぎない構築への準備を開始しており,2018年問題においても本学は,他大学に比べて,有利なニッチを確保しているということです。

 確信できる理由は3つあります。1つめの理由は,私達が掲げている基本理念が,今日の社会を見据えた先駆的なものであり,その理念のもとに12年間,一貫してその具現化に本学の教職員が一体となって取り組んできたという実績です。すなわち,「地域に根ざした,県民から信頼される大学」,3大学の統合として生まれた県立広島大学が掲げたこの標は,地域創生が求められている今日的社会状況に対応して,素晴らしい予見性と輝きを放っているということです。本学の教職員は12年間に亘り,この理念を絶えず心に刻みながら教育・研究活動,そして地域連携をこの標の基に努力してきたことは大きな財産です。130件を越えた地域課題解決研究,20件の地域との包括的協定と連携,広島県教育委員会を介した高大連携の絆,1年間に約5000人の聴衆者を巻き込む公開講座,地域の経営リーダーを育む中国地方初のMBA開設など他大学には真似の出来ない,地域に対する我々のこだわりが形となって現れています。これは我々の強みです。

 昨年,国立大学の3類型化がなされ,急遽55の地方の国立大学が,「地域に貢献すべき大学」として分類されました。これらの各大学は大学の存続をかけ,ベクトルを地域に向けた教育・研究活動に専心しています。また近年,私立大学も地域との連携を固め,地域の信頼を高める努力と受験志願者の獲得を図っています。しかし,経験と重みにおいて私達は遙かに次元が違う地域との連携活動を既に実践しています。その上で地域に根ざす視座をより確実なものとして,自信を持って本学の強みとして地域に根ざした確かな活動を発揮していけるものと確信しています。

 そして2つめの理由は,私達の大学は地域の信頼を勝ち取る,確かな手段を獲得しているということです。それは人を育む力,すなわち教育力です。2013年より本学は,教育の改革に着手しました。教育改革推進委員会のもとに,全学的な共通教育の抜本的組み替えに始まり,さらに公立大学で唯一のアクティブ・ラーニング分野で文科省の採択校に選ばれています。現在,3つのキャンパスには37名のファカルティーデベロッパーを含めた多くの教員が学生に対し,能動的学修に取り組む姿勢の涵養に取り組んでいます。こうした努力が,昨年6月の大学通信の調査結果,すなわち全国2000の有名進学高校の進路指導教員の選考による「生徒に勧めたい大学」において,全国700以上の大学の中54番目にランクされたことに結びついたと思っています。これは我々の努力が評価されている1つの証です。しかしその順位に満足していると進歩はありません。社会的に,愚直力に優れていると認知され,真摯に勉学に取り組む姿勢を抱いている本学の学生が,課題を自ら見いだし,その解決へと挑戦する1ランク,ステージの高い力を持って地域社会に巣立ちすることを促す教育力を何としても本学の誇るべきブランドとしたいものです。

 有利なニッチを確立している最後の3番目の理由は,私達は2018年問題を意識した対応準備に,既に着手しているということです。一昨年前,各部局において私達は,新大学開学後の10年の歩みを振り返り,それぞれの強み・弱みの分析を精査に行いました。そして今年度当初には,学長直轄の「学部学科等再編検討委員会」を組織し,強みを生かした学部・学科等の再編と教育方法の改善を含めた新たな大学への構築を目指した戦略について,若手教員と外部の委員によって,熱心な検討がなされています。全教職員情報共有の場として設けられている電子掲示板には,学士課程検討部会での6回の協議を経て作成された学部・学科部会の中間まとめが掲載されています。本学の目指す学生教育の指針が,仮称ですが「課題探求型地域創生人材」というキーワードで集約されています。具体的であり,見事に本学の学士課程の歩むべき,改革すべき方向を示していると私は思います。一般に,組織が掲げる戦略は,自らの強さに立脚することが前提となります。各学部・学科の持てる強みが,同時に本学の強みである,地域を視座にした地域創生への方向性と結びつくことが必然であることは言うまでもありません。この確実なリンクが,他大学に対して絶対的差別化を備えた,2018年問題を乗り切る唯一の答えが残されていると確信しています。

 まさに2017年は,本学の未来にとっての重要な節目になります。すなわち,本年は,本学を信頼して入学する学生と,多くの県民の期待に適う学部・学科再編への明確な戦略を打ち立てる年であるということです。新しい容器に果実を盛り込み,時代に応える新たな熟成を醸し出すためにも,私達大学構成員が一丸となってこの1年,頑張っていこうではありませんか。私はその先頭に立って誠心誠意努力して参ります。どうか宜しくお願いします。

平成29年1月4日

                                                     県立広島大学 学長 中村 健一


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