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平成30年 仕事始め式における学長メッセージ

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年1月4日更新

  

 明けましておめでとうございます。新年の仕事始めにあたり,ご挨拶を申し上げます。
 仕事始めの爽やかな朝を迎え,広島,庄原そして三原の各キャンパスにおきまして,新たな平成
30年の業務活動が一斉に開始しました。

 例年,私はこの場におきまして干支にまつわる話題から新年の挨拶を始めてきました。昨年は酉年,酉の漢字に氵をつけると酒ということからも分かるように,酉は果実が熟成する意味を持つ干支であることを引き合いに出し,酉年に始まった県立広島大学が,12年を経て豊穣の実りを産んでいるという意味合いのご挨拶を皆様にいたしました。

 ところで話はそれますが,ある方から干支で酉と言うことはおかしいとのご指摘を受けました。確かに調べてみるとそのとおりで,干支は子丑から申酉戌亥で終わる十二支と十干からなることが分かりました。この十干とは,「ひのえ」や「きのえ」さらには「みずのえ」「かのと」など併せて10種類からなりますが,この十二支と十干の組み合わせた年号を「干支」というのが正しいということでした。したがって今年は十二支では戌ですが,正式に干支と言うことで示すなら,「つちのえいぬ」と表現するのが正確であるということです。昔は干支でその年を表していたとのことですが,例えば,高校野球の会場となる甲子園は,甲は「きのえ」であり,甲子園の子は「ねずみ」,すなわち甲子園が創設された大正13年が「きのえね」にあたることに由来していることが分かりました。歴史で学んだ戊辰戦争の戊辰もその年の干支から命名されたということも容易に想像できます。

 干支について調べてみると,さらに私にとっての新しい知識を得ることができました。十二支と十干からなる干支は,60通りあるということです。組み合わせは1210ですから120通りと一見思ったのですが,60が全体の組み合わせの数となるのです。この理解に私はかなり時間を要しましたが,両者とも順番に並ぶと言うことと,1210の最小公倍数が60ということで納得できました。したがって60歳まで生きると全ての干支の組み合わせを経験したことになり,61歳からまた同じ順番で暦を繰り返すということで暦をめぐる,いわゆる還暦となるわけです。もう一度初めに戻る意味で,赤児からスタート。私は還暦に家族から,赤いTシャツをプレゼントしてもらいましたが,単に赤という縁起の良い色,そして長寿の祝いと受け止めていました。還暦をとうに過ぎた今になって,初めてその意味を理解することができました。

 干支の誤った使用を指摘された後,干支の持つ正しい意味,順列組み合わせの問題,そして還暦の意味,赤の羽織などを着る理由に至るまで,疑問は疑問を呼び,私なりのアクティブラーニングをとおし,幾つになっても知ることは楽しいということを実感させてもらいました。

 さて,話を戻します。干支はともかく,十二支では今年は酉の次の戌にあたりますが,戌という漢字は,年賀状などでしか日常的には目にすることが少ないかも知れません。部首(戈)は「ほこ」を表します。「ほこ」には戦闘用と農業用がありますが,戌は熟した作物を刃物で刈り取る農業用の「ほこ」を示します。つまり前年の酉年が収穫できる実った状態だとすれば,戌は収穫して作物を一つに束ねあげた状態を意味しています。

 この状況を,本学で言えば,刈り取った後の畑に立ち,どのような種を蒔くことによって次の実りある収穫をもたらすかを構想している情景に例えることができます。くしくも,私達は新大学開学を経て12年の齢を過ぎ,ここ数年,開学以来の教育・研究そして地域との連携活動を振り返りながら,現在,学部・学科等再編推進委員会の元に,それぞれ未来に向けて,3キャンパスの畑に新たにどのような実りを求めるかについて議論を進めているところです。そして今年こそが,その答えを学内外に発信する年にあたります。

  しかし,ここで私達が迷いを感ずることは何一つありません。私達は3大学統合時において,新大学の基本理念として「地域に根ざした,県民から信頼される大学」を掲げると共に,本学の教職員は開学以来,この理念を絶えず心に刻みながら,着実に実りある教育・研究活動,そして地域連携を展開してきました。11年に亘る中四国九州の公立大学でトップとなる科研費の採択数,学生の授業満足度の向上,150件を越えた地域課題解決研究,1年間に約5000人の聴衆者を巻き込む公開講座,さらには地域の経営リーダーを育む中国地方初のMBA開設と運営など,幾つもその例を挙げることができます。こうして開学以来,公立大学の果たすべきミッションをしっかりと実践してきた成果を,私達は胸を張って誇ることができます。

 このような開学以来培ってきた本学の地域への取り組みとその姿勢は,地域創生が叫ばれている今日の社会的期待の高まりと重なっています。しかし本学の地域を見つめる目は,決してそうした流れに迎合したものではなく,アカディミズムに基づいた12年の経験値がしっかりと蓄積されています。例えば,広島という地域を意識しながらも我々は,現在30の海外大学との連携協定を結び,今まで以上に活発で国際的な連携を展開しています。これも,未来を担う学生が,これから地域に取り組む実践活動において,多様な文化理解とグローバルマインドの形成は欠くことができないという本学で醸成された経験に裏付けられているからです。

 さらに強調すべきことは,今,私達は現状に満足することなく,本学の強みである「地域に根ざし,地域に還元する確かな教育と研究活動」をより発揮すべく学部・学科等の再編と課題解決型地域創造教育方法の改善に全学的に挑戦していることです。

「強いものが生き残るのではなく,変化するものが生き残る」

 とは,チャールズ・ダーウィンの言葉です。外部環境にしなやかに反応しながら,本学の強みをさらに発揮し,地域社会に誇れる大学の創造に立ち向かう姿を明確にする平成30年であることを,私達構成員一同が強く自覚する必要があります。

 最後に皆様お一人お一人のご多幸の年となることを祈念しまして年頭のご挨拶を閉じたいと思います。

平成30年1月4日

                                                     県立広島大学 学長 中村 健一


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