県立広島大学大学院 人間文化学専攻

栄養科学・健康管理科学研究分野 栄養科学研究分野
教授 杉山寿美

Sumi Sugiyama

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 食品を料理に変換する調理・加工過程でおこる様々な現象を解明し,制御することをテーマとして研究しています。普段なにげなく食べている料理の調製過程で,何が起こっているのかを実験で解明することはとても楽しいです。また,全国的に,調理学・給食経営管理領域の研究者が不足しています。食べることが好きで,実験が好きであれば,この領域の研究者を目指せます。研究者を目指せる領域は稀です。卒業生,修了生の多くが大学の助手,助教,講師として,この領域の研究をつづけています。調理過程の曖昧性と厳密性にワクワクしてくれる方と一緒に研究したいと思っています。

研究テーマ研究テーマ

 現在,調理科学領域の研究としては,①卵黄O/Wエマルションの加熱によるゲル形成機構の解明,②フライ用バッターのレオロジー特性と糊化度の関係,③ハンバーグの塩分濃度と材料配合が物性等に及ぼす影響というテーマに取り組んでいます。①では卵の加熱過程での機能変化(乳化性→凝固性)の詳細をプリン,チーズケーキ,オムレツを試料として研究しています。②ではコロッケやフライの衣のサクサク感の要因について,③ではハンバーグの食塩の役割について,基礎的な研究を行っています。また,食育(栄養教育)の根拠を示すことを目的として,④給食を媒体とした食教育効果の検証-米・魚・野菜を中心とした食事を繰り返し食べることが食意識・食行動に及ぼす影響-,⑤料理の組み合わせによる塩味の嗜好性の許容範囲の把握と減塩教育プログラムの構築といった研究も行っています。どのようなテーマでも,料理を実験対象とする研究は,試料調製の再現性確保が大変です。そして,脂質,蛋白質などの抽出・分析は面倒で時間がかかる操作です。実験手法に慣れるまでは少々,辛抱が必要かもしれませんが,手法を身に付ければ,研究はとても楽しいです。また,機器による測定としては,動的粘弾性測定,示唆走査熱量測定,走査電子顕微鏡観察等を行っています。
 最後に・・・美味しいものを食べることも勉強です。本研究室に所属すると,口が贅沢になって,美味しいものしか食べられなくなります。食べ放題・・・無理です。

message研究業績

  • Collagen characteristics and textural properties of chicken wing sticks prepared in a cook-chill system using a cooking pan or vacuum package. J. Cookery Sci. Jpn., 46, 372-380 (2013)
  • Lipid distribution and rheological properties of creamy custard pudding prepared with egg yolk and milk fat cream., J. Cookery Sci. Jpn., 45, 123-132 (2012)
  • 食事摂取基準に示された「美味しく楽しく食べることのできる食事」を理解させるための給食経営管理領域における試み,日本栄養士会雑誌, 55(4), 318-330, (2012)
  • Effects of cooking with ginger juice or kiwifruit juice on collagen and lipid contents of "Kakuni pork"., J. Cookery Sci. Jpn., 44, 411-416 (2011)
  • 大学教職員を対象とした栄養アセスメントに基づく給食経営管理実習の試み, 日本栄養士会雑誌, 54, 638-651 (2011)
  • 卵がドーナツ生地のレオロジー特性と調理後の脂質量に及ぼす影響, 日本家政学会誌, 62, 309-316 (2011)
  • 口中調味の実施状況が白飯とおかずを組み合わせた食事での白飯のおいしさに及ぼす影響, 日本調理科学会誌, 44, 145-152 (2011)
  • 加熱後の鮭,鯖,鶏肉の保存が水分量,脂肪量,官能評価に及ぼす影響,日本家政学会誌, 62, 133-139 (2011)
  • 大根の加熱および保存過程がコラーゲン,グリセリド,塩化ナトリウムの浸透および硬さに及ぼす影響,日本調理科学会誌, 44, 64-71 (2011)
  • 加熱後の鶏肉への生姜搾汁添加と温蔵過程が結合組織コラーゲンとテクスチャーに及ぼす影響, 日本調理科学会誌, 43, 192-200 (2010)
  • ドーナツの脂質に及ぼすバターおよびマーガリン配合量の影響,日本家政学会誌, 59, 3-11 (2008)
  • 成人女性のサプリメントの利用実態と健康に関する意識・行動, 日本食生活学会誌, 19, 288-294 (2007)
  • 食肉の加熱調理後の脂質量へ及ぼすキウイフルーツおよび生姜搾汁前処理の影響, 日本家政学会誌, 56, 607-615 (2005)
  • Effect of kiwifruit juice on beef collagen, J. Nutr. Sci. Vitaminol., 51, 27-33 (2005)
  • 鶏卵に含まれるコレステロール量の調理による減少, 日本家政学会誌, 54, 705-712 (2003)
  • 女子大学生のサプリメントの利用実態と食に関する保健行動, 日本栄養・食糧学会誌, 55, 97-103 (2002)
  • フライ調理における脂肪酸量の増加と揚げ油の吸着量, 栄養学雑誌, 60, 19-24 (2002)
  • Enzymatic Properties, Substrate Specificities and pH-activity profiles of Two Kiwifruit Proteases,J. Nutr. Sci. Vitaminol., 43, 581-589 (1997)
  • Purification and characterization of six kiwifruit proteases isolated with two ion-exchange regins, Toyopearl-SuperQ and Bakerbond WP-PEI, Biosci. Biotech. Biochem., 60, 1994-2000 (1996)

教科書

  • 食物と栄養の科学シリーズ「調理学」 朝倉書店

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