講義


 専門科目の内容について一部を示します。
 初学者にとっては馴染みが薄く、敷居がとても高く感じられるかもしれません。
 しかし量子化学や固体化学の領域では、基本的な事項ばかりです。
 安易な省略をせずに、丁寧な論理の展開に基いて、ゆっくりと詳細に解説していきます。
 更には、多彩で魅惑的な性質をもつ話題の物質を紹介します。
 受講生には、より本質的な理解と修得を期待します。


 T 電子運動 (量子論による表現)
  ・ エネルギー保存則
  ・ 波動方程式の導出 (古典論)
  ・ 定常波の波動方程式 (古典論)
  ・ ド・ブロイの式の波動方程式への導入
  ・ 時間に依存しないシュレーディンガー方程式
  ・ 演算子・固有値・固有関数
  ・ 波動関数ψの満たすべき条件
  ・ 推測される波動関数のかたち
  ・ 一次元井戸型ポテンシャル中の電子
  ・ ポテンシャル障壁による減衰
  ・ トンネル効果
  ・ ブロッホの定理
  ・ 周期ポテンシャル中の波動関数
  ・ クローニッヒ・ペニーモデル
  ・ δ関数型クローニッヒ・ペニーモデル
  ・ バンド構造


 U 電子軌道 (中心力ポテンシャル中での運動)
  ・ 等速円運動の運動エネルギーと位置エネルギー
  ・ ボーアの原子モデル
  ・ 角運動量演算子
  ・ シュレーディンガー方程式の極座標表示
  ・ 水素原子における電子のハミルトニアン
  ・ 水素原子におけるシュレーディンガー方程式
  ・ 水素原子における波動関数とは
  ・ 変数分離された動径分布関数と球面調和関数
  ・ 球面調和関数におけるΦ関数を解く  
  ・ 角運動量演算子とその交換関係 (同時固有関数)
  ・ 球面調和関数におけるΘ関数を解く
  ・ ルジャンドル陪微分方程式の解法の活用
  ・ 電子軌道の角度部分を表す波動関数 Y(θ,φ)
  ・ 球面調和関数が表す電子軌道 (p, d, f軌道)
  ・ 動径分布関数R(r)を解く
  ・ 冪級数法による動径関数の同定。エネルギーの算出
  ・ ラゲールの陪微分方程式の解法の活用
  ・ 動径分布関数が表す電子軌道 (s軌道)
  ・ 水素原子における厳密な波動関数 ψ(r,θ,φ)
  ・ 水素原子の波動関数が表す電子軌道 (s, p, d, f軌道)


 V 電子相関 (電荷・軌道・スピンの交差相関)
  ・ 結晶場による3d軌道分裂
  ・ ハバードモデル
  ・ モット絶縁体とモット転移
  ・ 3d-2p混成による電荷移動型モット絶縁体
  ・ ペロブスカイト酸化物にみる強相関電子系とは
  ・ eg 伝導電子
  ・ t2g 局在スピン電子
  ・ フント結合によるeg 電子のスピン整列
  ・ 協力的Jahn-Teller効果によるeg 軌道整列
  ・ 局在スピン電子による超交換相互作用
  ・ Goodenough-Kanamori則
  ・ 反強磁性と強磁性の発現
  ・ Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物
  ・ 伝導電子による二重交換相互作用
  ・ フィリング制御による多様な電荷-軌道-スピン相互作用
  ・ eg 電子の軌道自由度
  ・ 擬スピン表示による様々なeg 軌道秩序
  ・ 電荷-軌道-スピン結合による多彩な相転移 (CE型,A型,C型)
  ・ 反強磁性絶縁相,強磁性金属相,電荷整列相の発現
  ・ 負の磁気抵抗効果 (GMR, CMR)




物質の性質を追いかけていくと、電子の振る舞いに出会います。
電子構造と呼ばれており、様々な性質の起源がとても納得できます。
その多彩な性質と電子との関係は、知れば知るほど面白く、その世界に吸い込まれていきます。
もしもあなたが、尽きることのないこの興味に触れることができたのならば、
それは、重くて大きい格式ある学問の扉を、自分の力で開けたのです。
その向こうで待っています。