広島県立大学生物資源学部
植物病理学研究室
Hiroshima Prefectural University
School of Bioresources
Laboratory of Plant Pathology
教員:助教授 奥 尚(農学博士)
Staff:Takashi OKU Ph.D
e-mail:
toku@bio.hiroshima-pu.ac.jpPhone/Fax +81-8247-4-1769
道しるべ
私たちがカゼをひくように植物も病気になります.大切な樹木が病気で枯れたり、花がきれいでなかったり、お米や野菜がとれなくなると私たちは困りますね.
植物病理学は「植物の病気の原因は何か」、「病気の原因となるバイ菌はどうやって植物を病気にしてしまうのか」そして「どうすれば植物を病気から守れるのか」を研究する「植物のお医者さん」の学問で、私たちの毎日の生活に深く関わっています.
大学学部での講義から...
植物病学:
植物の病気はウイルス、細菌、糸状菌等の病原体によって起こり、農業生産や生態環境を著しく損なうことによって、人類の生存と環境を脅かす.植物病学は植物の病気の防除を最終の目的とした基礎と応用の科学である.基礎分野の主目的は病気のメカニズムの解明で、その基礎は植物病原微生物学と植物病態生理学であるが、現在では植物-病原体相互作用を分子生物学的に解析する分子植物病理学が主流である.一方、応用分野での主目的は病気の診断と防除技術の開発であるが、最近では、遺伝子診断法や病害抵抗性トランスジェニック植物の創成など遺伝子工学を応用した新技術が続々と登場している.ここでは、最新の情報も交え、概要を述べる.
植物防疫学:
植物病害の防除技術は安定的な食料生産・供給には無くてはならないものである.ここでは、植物病害の流行機構、抵抗性品種の利用、病害の発生予察、栽培管理、バイオテクノロジー技術などを総合的に利用した植物病害防除について論ずる.
大学院では...
分子植物病理学:
分子生物学的手法の発達により、植物病原体と宿主植物の相互反応に関わる現象は、化学物質レベルのみならず、遺伝子の構造やその発現という分子レベルでの解析・解明が可能となってきており、最新の病害防除に新技術が応用されている.ここではこれら研究の最近のトピックについて論ずる.
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イネ白葉枯病菌(Xanthomonas oryzae pv. oryzae)の病原性および非病原性発現機構の分子生物学的解析
イネ白葉枯病菌の病原性レース分析
イネ白葉枯病抵抗性イネ品種の育種
病害抵抗性形質転換植物の開発
形質転換植物による有用物質の生産
野菜病害の総合防除
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米国カリフォルニア大学デイビス校、農林水産省、京都府立大学、宮崎大学、東京大学、広島県立農業技術センター生物工学研究所、同果樹研究所、石川県農業総合研究センターの他、企業
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<論文>
Oku,T., Alvarez,A.M.and Kado,C.I.(1995). Conservation of the hypersensitivity-pathogenicity regulatory gene hrpX of Xanthomonas campestris and X. oryzae.
DNA Sequence 5:245-249.
奥 尚(1998).アズマガヤより分離されたうどんこ病菌Blumeria graminis(Erysiphe graminis)の寄主範囲と分化型.
日植病報 64:133-136.
Oku, T., Wakasaki, Y., Adachi, N., Kado, C.I., Tsuchiya, K. and Hibi, T.(1998). Pathogenicity, non-host hypersensitivity, and host defense non-permissibility regulatory gene hrpX is highly conserved in Xanthomonas pathovars.
J.Phytopathology 146:197-200.
Iwamoto, M. and Oku, T.(2000). Cloning and molecular characterization of hrpX from Xanthomonas axonopodis pv. citri.
DNA Sequence 11:167-173.
Adachi, N. and Oku, T. (2000). PCR mediated detection of Xanthomonas oryzae pv. oryzae by amplification of the 16S-23S rDNA spacer region sequence.
J. Gen. Plant Pathol.66:i303-309.
Katsura, Y. and Oku, T. (2000). Sequence analysis of α-helix-turn-α-helix motif region of HrpX in plant pathogenic Xanthomonas.
J. Gen. Plant Pathol. 66:327-331.
Oku, T., Sato, K., Kurao, M., Matuura, S., Sakai, Y. and Tsuchiya, T.(2000). Notes on the occurrence of pathogenic races of Xanthomonas oryzae pv. oryzae found in Hiroshima Prefecture in 1999.
J. Gen. Plant Pathol. 66:332-334.
<著書>
奥 尚(1995).植物病理学事典.養賢堂.東京.(共著)663-666.
奥 尚(1998).日本植物病害大事典.全国農村教育協会.東京.(共著)367-368.
奥 尚・桂 由紀・岩本資宏・安達直人(1999).Xanthomonas属植物病原細菌のhrpの発現制御.病原性と抵抗性の分子基盤.高浪洋一編.日本植物病理学会.東京.31-42.
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