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所属:保健福祉学部保健福祉学科人間福祉学コース 職位:准教授 学位:博士(社会学)
研究室:県立広島大学三原キャンパス2518号室
E-mail:nobu-shiga@(@の後にを付けて送信ください)
研究内容:https://researchmap.jp/shiga_nobuo
貧困や差別という現象を言語化して整理することで、対策の具体的なかたちがみえてきます。これからは経済成長主義を相対化する視点から貧困問題や差別の問題にアプローチしていく必要があると私は考えています。
(1)「貧困とは何か」、(2)「貧困を生み出す社会構造から考える貧困対策」、(3)「差別と貧困と公害問題」に関する研究を行っています。
主として、理論研究を行っています。現象を記述するということを中心に取組んでいます。
(1)「貧困とは何か」にかかわる研究については、『貧困理論の再検討』という著書にまとめました。今後、入門書も刊行予定です。
(2)「貧困を生み出す社会構造から考える貧困対策」については、現在、追究しているところです。特にこの研究は、「資本‐賃労働関係(階級関係)」に着目して遂行しています。
(3)「差別と貧困と公害問題」に関する研究は、企業主義的開発主義と植民地主義が差別と貧困をどのように利用したのかについて追究しています。
貧困問題は単に「お金がない」という状況だけを指すわけではありません。もちろん、お金の不足に対する対応(経済的給付)は貧困対策の必要不可欠な条件の1つであるのは確かなことです。お金の給付はするが、その人の人権や尊厳については注意を払わない、ということになると、そのお金は生活問題を抱えている当人の苦しみを表現する声を奪ってしまう道具になってしまうかもしれません。
貧困問題だけでなく、あらゆる生活問題については「お金の給付」が必要条件となっていることが多いです。ただし、それだけでは十分でないこともまた非常に多いです。
こうしたことが直観的に理解できていても、それをしっかりと言語化して理論的に整理するということができなければ、必要十分な条件を備えた貧困対策を打ち立てることはできません。
私が行っている貧困理論の研究は、このような単純に見える事実から出発しますが、その射程はひろいものだと思います。
私ができることは以下の2つです。
1「貧困とは何か」に関する理解促進。
2「貧困対策として、どのような制度・政策が必要なのか」に関する理解促進。
3「貧困問題への社会的対応を創出していくために私たちができることは何か」に関する理解促進。
4貧困調査。
貧困対策は誰かが勝手に善意で進めてくれるというものではなく、社会全体の働きかけがあって初めて機能していきます。
貧困理論、貧困問題、社会的排除、脱成長