学長からのメッセージ【2021年4月1日更新】

　「地域に根ざした，県民から信頼される大学」

　2005年4月，それまで広島県内にあった県立の3大学，県立広島女子大学（広島市），広島県立大学（庄原市）そして，広島県立保健福祉大学（三原市）が統合して県立広島大学が生まれました。県立広島女子大学は，1920年女子高等教育制度に大幅な改革促進が行われる中で，広島県立広島高等女学校家事補習専攻科として設置され，昨年建学100周年を迎えました。広島県立大学は昭和29年4月に広島農業短期大学として東広島市に設置され，平成元年には庄原市に移転して，県北地域活性化のために短大から4年制へと移行しています。一方，広島県立保健福祉大学は1995年広島県立保健福祉短期大学として開学し，2000年には4年制に移行しています。このように異なったルーツを持つ3大学が統合して県立広島大学が出来上がっていますから，旧大学のあった３つのキャンパス，広島キャンパス，庄原キャンパスそして，三原キャンパスにはそれぞれ特徴があります。ここでは詳しくは説明しませんが，それぞれの学部のアドミッション・ポリシー，カリキュラム・ポリシーそしてディプロマ・ポリシーをホームページから覗いてみて下さい。それぞれの特徴が分かっていただけると思います。私からは大学全体としてのメッセージをお伝えしたいと思います。

　本学の基本理念は，「地域に根ざした，県民から信頼される大学」です。地域で活躍できる人材の育成や地域が抱える課題を解決する，新たな「知」の創造拠点として貢献する役割が本学に課せられています。そのためには，主体的に考え，課題解決に向け行動できる実践力，多様性を尊重する国際感覚や豊かなコミュニケーション能力を身に付け，生涯学び続ける自律的な学修者として，地域創生に貢献できる「課題探究型地域創生人材」を育成します。この人材育成のため，文部科学省平成26年度「大学教育再生加速プログラム」（AP事業）に応募して採択され，平成26年度から令和元年度までの6年間本事業を行ってきました。このプログラムは，国として進めるべき大学教育改革を一層推進するため，教育再生実行会議等で示された新たな方向性に合致した先進的な取組を実施する大学を支援するものです。本学のAP事業は，「地域に軸足を置き，世界を視野に活躍できる人材」の育成拠点として，本学が掲げる全学人材育成目標を実現するために全学で取り組んでいる教育改革のうち，授業方法の見直し・改善と教育方法の充実・転換を目指したアクティブ・ラーニングの導入を加速することで，学生の学修意欲を喚起し，主体性を育む教育を定着させることを目的としています。プログラム終了後の評価会での審査では，アクティブ・ラーニングを牽引する教員と学修支援を担う学生の養成，能動的学修の実践など教育改革の推進が行われたことを高く評価されました。さらなる改革を進めるべく，現在は本学独自のプログラムとして事業を継続しています。

　また，県立広島大学が設立された目的の一つに，地域に根ざした高度な研究を行い，その持てる資源を地域に積極的に提供することなどを通じて，地域に貢献する知の創造，応用及び蓄積を図り，もって地域社会の発展に寄与することがあります。そのためには，教員の研究力に負うところが大きいと思いますが，教員の研究力の指標に文部科学省の科学研究費助成事業があります。この事業は，人文学，社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり，基礎から応用までの独創的・先駆的な研究に対する助成を行うものです。本学のこの事業に対する採択件数は，令和2年度は105件で，この14年間，中四国・九州・沖縄27公立大学の中でトップの座にあります。

　地域貢献では，日本政策金融公庫が調査・発表している「中小企業と積極的に協力する大学」の中で，本学は2014年度から2017年度の統計で，民間からの相談受け入れ件数に占める中小企業の割合では，全国3位にランクづけられており，いかに本学が広島県内企業のサポートをしているかがよくわかります。

　これからも，地域から未来を拓く県立広島大学のご支援をよろしくお願いいたします。　　　

県立広島大学　学長　 森永 力