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県立広島大学生命環境学部ゲノム制御システム生物学研究室

達家研究室 広島

教授 達家 雅明(たつか まさあき)


場所について

 BINGO-SHOUBARA: place name in Japan

 備後庄原:広島県の備後(Bingo)地方にある市です。日本で夕張市に次いで広く、万葉以前の歴史が漂う。戦国武将山内首藤氏が蔀(しとみ)山(多賀のやま=高野山)から移した本拠地である備後山内の南にあたる古墳丘陵地。現在ではこの古墳群は移設撤去されている。


名前について

 Masaaki Tatsuka:the meaning of the name written with the Chinese character is as follows.

   First name: a noble light

   Last-name: the family who achieved a noble conspiracy

 氏名:達家雅明(たつかまさあき)

 縁者のゆかりは古く平安以前(神亀元年)の歴史にさかのぼるとされる(本姓:藤原)。


研究について

 基本的な問いは「我々は何処から来て何処へ行く何者なのだろうか?」というところにあります。それを科学的に理解するために、生き物の細胞を研究してます。私たちの細胞は色々な細胞小器官が集まったものですが、その機能の根本を司っているのはたんぱく質です。そして、それは遺伝子によって支配されています。すなわち、遺伝子の総体としてのゲノムのこと、そして、そこから紐解かれるRNAやたんぱく質のことがわかれば、少しは我々のこともわかるかも知れないということです。

 具体的に「その研究の目的は何ですか?」「その研究は何の役に立つのですか?」と質問されることがよくあります。また、私たちの立場からすれば、ひとつは「教育の義務」がありますが、一方で「研究成果の社会還元」という義務も背負っています。前者については、多くの「生命が好きな理系の非常に真摯で勤勉な学生たち」が多数研究室に集ってくれていて、日夜、深夜や土日を厭わずに実験に励んでおり、英語で論文を書くために最大限の努力を払い、自分を磨いて就職戦線に耐えて、最終的には、メディカル、コメディカル、コスメティックスなどの領域に巣立って行ってくれています。しかし、日夜励んでいるこういた理系の学生たちに対して、決して、世間の人(時にはご家族やご両親も含めて)が深く理解してくれている訳ではありません。また、実際、本学の他の領域、特に文系の学生たちからも「どうして研究室に入ってからそんなに忙しいの?」と問われることも少なくありません。バイト先の上司に「研究室に入ったらめちゃくちゃ暇になるのと違うの?もっとバイトに入れるでしょう!」と言われて困る学生も少なくありません。理系は実験があり、特に生物系、更に基礎医学系は鬼のように忙しく根気の居る研究生活を送っていることは本学に居たらなかなか理解されない訳ですが、いったん学生が例えば「癌学会」や「分子生物学会」などに出かけると、自分たちと同じ学生たちが一杯居て、「学会中やけど、細胞どないしょうかと思うと心配・・・」という会話を聞いて「自分たちと同じやん」と感激する経験をします。国際学会に行けば、更に、世界中に同じように必死で実験している人たちが居ることを知ることでしょう。近年の日本では、特に理科離れ、実証主義的実験離れが進んでおり、「大学生は遊びほうけている」と世間では思われて自分たちも同様に思われていることに愕然とする学生たちのモチベーションを高めるのに苦労する昨今です。更に、私たちの「研究成果の社会還元」の目標は、がんの基礎研究ですが、例えば、私たちの研究で説明すると、オーロラは1998年に動物細胞で初めて発見されて以来、染色体分配の仕組みについての研究が分子レベルで飛躍的に進みました。そして、この阻害剤の開発はこのたんぱく質の発見当初に予言出来た訳ですが、それから実際に低分子量化合物の阻害剤が開発され出して色々な化合物が開発されて来ていますが、15年を経てもまだまだ、実際の抗がん剤として利用されるまでに至るには前臨床の試験が終わって更に商業ベースに乗って薬が世に出て広く使われる期間が必要です。そして、そういった新薬開発は時間に加えて膨大な経費と臨床の先生たちの協力や努力が必要な訳です。私たち基礎研究者にとっては、自分たちの研究成果が画期的な抗がん剤の開発の礎の少しでも作ることに貢献出来たことに喜びを感じることはありますが、実際に、例えばオーロラ阻害剤が開発されて臨床に出た時には商品名で呼ばれている薬には私たちの名付けていた遺伝子名はありません。文献を紐解けば、その薬開発に至ったごく初期の文献のひとつに私たちの研究があったとしても、遠いことです。すなわち、私たちの仕事は常に下積みです。だから、今研究している内容も、これから10年20年先に薬になるかも知れないような研究であって、「すぐに役立つ」というものではありません。しかし、例えばGene Card(遺伝子の戸籍)などにあたれば、私たちが発見したオーロラやSAKIなどの戸籍記述に私たちの論文を見つけることが出来ます。それはひとつの喜びですが、やはり、基本的な私たちの研究のモチベーションは、「あわよくば朗報になる薬剤開発に繋がればいい」ということと、近々の喜びは、「今まで予想もしなかった機能が研究しているたんぱく質にあった」「今まで言われていた分子機構は全く間違っていて全然違った仕組みで機能していた」などの予想外の発見があって、生物の仕組みの巧妙さのベールをひとつ剥がすことが出来た瞬間、そして、この内容を英語科学論文に投稿して審査員に認められて出版された時です。

 きっと、ここまで読み進んで下さる人は少ないでしょうが、最終的に「その研究の目的は何ですか?」「その研究は何の役に立つのですか?」と質問されれば、「直接的には、あわよくば、がん患者さんの朗報になるかも知れない難治性がん、特に転移するがんを何んとか制圧する方策を探してます」「間接的には、生命機能の新しい局面を解明して、それが、もしかしたら、予想もしないことに役立つかも知れません」というものかも知れません。技術開発を直接の目的としていない私たちの研究は、例えば「なぜがん細胞が低酸素でも生きれてて、そこで生き残ったがん細胞は転移性へと姿を変えているのだろう」ということに疑問を持って、低酸素環境下で生きてて染色体分配を予想もしない方法でこなして生体内で生き残る実に巧妙な戦略を発揮していることを知ることにあって、そこに関与する分子やシグナルの様式は解明するけれど、また、その解明によりどのように「がん細胞の生き残り戦略を画期的に妨害出来るか」という方策の提案は出来るけれど、実は、そこで私たちの仕事は終わります。そういう意味では、常に、ヒントを世界に発信している訳です。そして、世界中の人が私たちのヒントを役立ててくれることを願ってます。役立っているかどうかは、私たちが出した論文のインパクトがどれくらいあったのかでわかります。ひとつは出版した論文が掲載された雑誌のインパクトファクターですが、もうひとつは、私たちの出した論文がどれくらい他の研究者によって引用されたのかということです。引用数が多ければ多い程、その研究成果は他の研究者に影響を与えて、世の中の役にたった、あるいは役に立つ可能性が高いということです。

TATSUKA LABORATORY 2022