けんひろリサーチNow!

県立広島大学

未来を育む食と農のエコシステムとは何か
- ポストコロナ時代のコモンズデザイン

取り組み内容

 気候変動や自然生態系が劇的に変化している現在,食と農をつなぐプラットフォームのあり方も新たな局面を迎えています。本研究は,ポストコロナ時代の日本の農業がどのように変化するのか,分断化された自然と人間の関係について究明したうえで,飲食環境の課題と農と食を繋ぐ新しい経済コミュニティの成立要因を明らかにしたものです。

 消費者庁消費者意識調査(2020年8月)によると人や社会,環境に配慮した消費行動「エシカル(倫理的)消費」に関心を持つ人は59%,およそ6割の消費者が関心を示し,前回調査より23%増加し,今後もこうしたモノやサービスを買いたいと考える人は81%に達しました。新型コロナウィルスの猛威は,消費による「つながり」を考えるきっかけとなったことがわかります。農と食の場面についても同様で,いかに近くに農地を確保するか,生産者とつながるかなどの関心はこれまでにない高まりをみせました。
 「食は人生(Life)と自然(Nature)を分かち合う方法」であり,「会食は会話,想像,批評など社会的な場を創出」してきたものでした。このことは「和食」と総評されているものが世界で評価される根拠でもあることは注目すべきところです。2013年に世界文化遺産に登録された「和食」とは,この自然と人のつながりなくしては成立しないものです。

 本論は,均質化した農と食の境界の問題を解決するために,世界各地で特徴的な家族農業経営を展開しているCSA:Community Supported Agriculture(ここでは「市民参加型農業経営」と定義した)が創出するビジネス潮流について論じました。
 CSAは1970年代初頭の日本の有機農業による「提携」運動に端を発しています。生産者と消費者が生産と分配に生じるコストやリスクを共有し,コミュニティの繋がりを強化するという点で注目されています。国際連合は,2019年~2028年を国連「家族農業の10年」として定め,加盟国及び関係機関等に対し,食料安全保障確保と貧困・飢餓撲滅に大きな役割を果たしている家族農業に係る施策の推進・知見の共有等を求めています。
 本論では,生産者と消費者が相互に「参加し合える農業」について,C to Cのフードビジネス,さらには気候変動の適応策として,今後のコモンズの発展のあり方に重要な役割を担うものであることを明らかにしました。

担当者 大学院 経営管理研究科 教授
吉川 成美(よしかわ なるみ)

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