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読書はとても楽しいものです。皆さんもしかしたら「食わず嫌い」なのかもよ。ここで取り上げる本は全く私の個人的な趣味によるものですが、まあ騙されたと思って読んでみて下さい。ついでに映画の紹介もしておきます。少しずつ増やしていきますので、時々覗いてみて下さい。それにしても、面白い本が沢山ありすぎて何を選んでいいやら悩ましいのですが、思いつくままアットランダムに書いていきます。 
は本で、 は映画です。尚、ここに挙げた本や映画は全て私が持っているもので、貸し出しもしていますので、興味があったら私の研究室まで借りに来て下さい。
 また、私はクラシック音楽がとても好きです。お薦めの CD を紹介します。こちらをクリックして下さい。→  クラシック



 「Y氏の終わり」 (スカーレット・トマス・早川書房)

最近翻訳が出ました。偶然入った古本屋で大学院生アリエルが巡り会ったのは、ずっと探していた、トマス・E・ルーマスという19世紀の人物が書いた「Y氏の終わり」という幻の本であった。その本は、また、それを読むと必ず死ぬと言われる呪われた本でもあった。量子力学・シュレディンガーの猫・デリダの哲学と言った現代思想・科学をベースに、人間存在と世界の成り立ちを探る伝奇小説。


 「バラの名前」 (ウンベルト・エーコ著・国書刊行会))

中世の修道院を舞台に一冊の本を巡って起きる連続殺人。修道士ウィリアムがその謎を解明してゆく。記号学的蘊蓄に富んだ傑作推理小説です。タイムズ誌が2000年に行った20世紀のベスト100推理小説でベスト3に入ったとても面白くも含蓄のある作品です。ショーン・コネリーの主演で映画化され、DVDもありますが、こちらもなかなかよく出来ています。


 「百年の孤独」 (ガルシア・マルケス著・新潮社)

ノーベル文学賞を受賞したマルケスの代表作。植民地化され近代化して行くコロンビアを舞台に、特殊な能力を持つブエンディーア家の100年の歴史を綴って行く。所謂「マジック・リアリズム」の先駆的な作品。とにかく面白い。読むときには是非家系図を書きながら読んで下さい。同じような名前が繰り返し出てくるので(これも意図的な操作)誰が誰だか分からなくなっちゃうから。


 「のだめカンタービレ」 (二ノ宮知子著・講談社)

テレビドラマにもなったので皆さんご存じのことと思います。ピアノの奇才・奇人「のだめ」こと野田恵と天才指揮者・千秋真一が織りなす、クラシック音楽界を舞台としたコミック。ちょっとはまってしまいました。現在20巻まで出ています。


 「トイレの文化史」 (ロジェ・アンリ・ゲラン著・ちくま学芸文庫)

昔パリでは部屋にトイレがなく、朝通りを歩こうものなら、アパルトマンの上から「おまる」に溜めたうんちやらおしっこやらが降ってきたとか、宮廷では貴婦人がお庭で立ったままおしっこをしたとか、トイレの歴史的な変遷を辿った名著です。これは知っておかないと、と言う知識満載のとてもためになる本です。


 「彗星の住人」 (島田雅彦著・新潮文庫)

無限カノン三部作(「彗星の住人」「美しい魂」「エトロフの恋」の第1作。「蝶々夫人」「源氏物語」などを下敷きにして、明治から現代に至る歴史を、恋愛という観点から書き換えた大変優れた小説です。蝶々夫人の息子を祖父に持つ恋多き血を受け継ぐカオルが、自分のルーツを追い求めながら、やがて皇太子のもとに嫁ぐ女性と激しい恋いに落ちて行きます。また、この小説は、現皇太子妃をカヲルの恋人のモデルにしたとおぼしき少々危険な小説でもあります。大変面白いので是非読んでみましょう。多分第一作を読んだら他の2作も読みたくなると思います。


 「俗物図鑑」 (筒井康隆著・新潮文庫)

痰壺研究家、性病研究家、皮膚病研究家など凄まじい面々が「梁山泊」に立て籠もり社会に反旗を翻します。ページから臭いが漂い、思わず身体が痒くなって仕舞いそうな小説です。


 「2001年宇宙の旅」 (スタンリー・キューブリック監督)

私の好きなキューブリックの出世作。最初、人類の祖先たちが登場しそこにモノリスという黒い石板が出現する。それが進化を促し人類の祖先たちは骨を道具として使い始める。彼らの一匹が投げた骨が棒状の宇宙船に置き換わって、時代は2001年に移行する。骨という原始的な道具が進化して宇宙船になるということを一瞬にして表現する映画ならではの見事な技巧だ。そして、2001年、月でモノリスが発見され、木星に向かって電磁波を発していることが分かる。そこで木星へ探査の宇宙船が派遣される。この、宇宙船を制御しているのが HAL9000 というコンピューターだ。このコンピューター、どうやら感情とかも持っているらしい。道具文明もついに来るところまで来たという訳か。さて木星では何が待ち受けているやら・・・。


 「めぐりあう時間たち ("The Hours")」 (スティーヴン・ダルトリー監督)

マイケル・カニンガムの小説 The Hours を映画化したもの。ヴァージニア・ウルフに扮するニコール・キッドマンが2003年度アカデミー賞最優秀女優賞を受賞。物語は、ヴァージニア・ウルフの「ダロウェイ夫人」を核に、著者であるヴァージニア・ウルフ(1923年ロンドン:キッドマン)、読者であるローラ・ブラウン(1951年ロサンゼルス:ジュリアン・ムーア)、登場人物であるクラリッサ・ヴォーン(2001年ニューヨーク:メリル・ストリープ)の3人の女性の一日を描いて行く。それぞれの問題を抱える3人の女性の生き様が見事に描かれ、なかなかいい映画になっています。「ダロウェイ夫人」を読んでから見ることをお薦めします。


 「惑星ソラリス」 (アンドレイ・タルコフスキー監督)

タルコフスキーは僕がもっとも好きな監督の一人です。スタニスラフ・レムの傑作SF小説を見事に映画化しています。妻を失った科学者が惑星ソラリスを調べる探査機の中で見たものとは?人間の想念を物質科するソラリスの海とは一体何なのか?見応えのある作品です。ただし、タルコフスキー監督の作品は観客に眠気を催させる作用を持っているので注意。


 「木靴の樹」 (エルマンノ・オルミ監督)

19世紀末の北イタリアを舞台に、貧しい小作農の生活をただひたすらに淡々と描いています。1978年第31回カンヌ国際映画祭パルム・ドール賞受賞作品。心に染みる映画です。もしかしたら私の最も好きな映画かも知れません。