ご挨拶
【はじめに】 県立広島大学 生物資源科学部 地域資源開発学科の荻田です。日本の里山の景観として馴染み深い「竹林」。筍(タケノコ)や伝統工芸品,竹炭など用途はさまざまです。しかし適切な管理をしないと,たちまち拡大してしまいます。本プロジェクトは,そんな竹林の状況調査や整備,利活用に至るまで考え,行動していくことを目指しています。第一期として,(公財)安芸高田市地域振興事業団および住化エンバイロメンタルサイエンス株式会社と協力して,放置竹林の整備を進めました。令和元年10月1日より,広島県安芸高田市美土里町横田川撫地区に試験地を設営して実証展示試験を行いました。第二期として,同地区に設営した試験地では令和3年10月より気象測定センサを設置して調査を継続、その様子を解析しています。
【新たな取り組み】
令和6年度も引き続き、広島県温暖化対策活動推進補助金 事業を運営します。令和6年度は「都市近郊の放置竹林を管理竹林へ転換するモデルの活用」というコンセプトで展開していきます。
令和6年6月29日、7月27日の2日間、南区楠那公民館にて、竹に関する公開講座を開催いたします。
令和5年度は、「都市近郊の放置竹林を新たなカーボンサイクルモデルへ」というコンセプトで、都市部の竹林整備に関する取り組みを、広島県広島市南区仁保を拠点に展開していきます。本事業は、令和5年度広島県温暖化対策活動推進補助金 事業の一環として取り組みます。
【概要】 竹の地上部(竹稈:ちくかん)および地下部(地下茎)の持つ成長能力の高さを炭素貯留能力と位置づけ、竹林を計画的に管理・啓発活動に活用できる「都市型のタケノコ竹林」モデルを整備していきます。
2024/3/30 黄金山の現場周辺にて、竹の開花を確認しました。
2023.12の様子です。
*図は2022.1の整備前竹林の様子です
これまでの取り組み紹介
【実証展示試験の概要】 竹の強靭な生命力の源は地下茎であり,地上部の通常伐採のみでは竹林が大規模に再生してしまうことが知られています。また,重機による地下茎の全面掘り起こしは,放置竹林対策の有効な手段と考えられますが,コストがかかるとともに周辺植生へ重大な環境負荷を与える懸念があります。
私たちは,今回の実証展示試験に次のような 新手法を提案しています。
①新手法として,まず竹林の通常伐採(全伐)を行い,続いてクロレートSを全面土壌散布し,その後,小規模の再生竹があれば通常伐採するなど草・林地管理作業を行います。
②新手法によれば,薬剤の地下部に絞った集中作用により竹の地下茎を短期間に且つ広範囲に処理することが期待されます。地下茎を枯らすことで,その再生能力を強力かつ確実に抑制できると考えています。
③ 定期的な観察および竹組織の観察や活性評価を進めるとともに、生態系の回復の様子も検証していきます。
これまで本学HP等で紹介した情報をまとめて再掲載します。
🔗 2019年9月25日更新 安芸高田市における放置竹林防除の実証展示試験を開始します
🔗 2019年10月9日更新 実証実験が中国新聞に取り上げられました *外部リンク動画有
🔗 2020年2月20日更新 「放置竹林」対策で地下茎を根絶やしに~薬剤を利用した昨秋の実験 安芸高田市で3月4日に公開評価,5か月の成果を確認 *新型コロナ対策のため中止しましたが、プレスリリース版には新手法の効果が一部紹介されています(◆プレスリリース・ニュースリリース配信サービスPR TIMESの外部リンク)。
実証試験の様子
薬剤処理に関する情報
今回使用した薬剤「クロレートS」を用いた具体的な駆除方法,用法用量,薬剤の入手等については住化エンバイロメンタルサイエンス株式会社にお問い合わせください。今後の試験予定
2020年4月以降も経時的に観察しています。2020年7月現在,薬剤処理区および無処理区の現地の植生は順調に回復しています。その様子は近日中に紹介していきます。
New!>> 2020.9.1-9.2に 現地の下草刈りを行います。現在,薬剤処理区および無処理区では下草が旺盛に伸びています。草刈り後には,竹の様子を調査していきます。