本文
学長 中村 健一
県立広島大学は,2005年,広島市,三原市,庄原市に存在した広島県内の3大学統合により,「地域に根ざした,県民から信頼される大学」を基本理念とした新大学の歩みを開始しました。以来,10年間の地域との関わりにおいて,県民に信頼される上で最も大切なミッションは,地域に誇りうる確かな人材育成にあるという確信に至りました。そのため,2013年度よりスタートした第二期中期目標においては,「グローバル化が進む社会経済環境の中で,企業や地域社会において活躍できる実践力のある人材の育成」をトップスローガンに掲げ,全学を挙げて教育への取り組みがなされています。
その実現にあたっては,教育改革推進委員会を学長直轄として設け,教育改革の推進を進めています。実施過程で得られた共通意識は,グローバル化の進展した社会において,大学教育に求められているのは,『命題知』を古典的に修得させる従来の教育に留まらず,『応用知』あるいは『実践知』の涵養が極めて重要であるという認識でした。
能動的学修の推進はそうした目的を果たす上で求められる必然的活動であり,能動的学修推進に焦点化した取組への検討がなされました。その結果,フィールドワークなどの教室外の学修に基づいた行動型学修と、双方向授業や反転授業など教室内での知的能動性を育む参加型学修の融合を基本とした、能動的学修教育プログラムを構築することができました。幸いこの教育プログラムは,平成26年度の文部科学省助成事業である「大学教育再生加速プログラム」の採択に至り,現在着実にその推進がなされています。私達は,学内外の多くの方のご協力の下,全国大学の先駆的模範例となる,効果的な能動的学修を推進する実践活動を目指しています。皆様からの幅広いご支援を宜しくお願いします。
副学長(教育・学生支援担当) 西本 寮子
ますます多様化、複雑化し、先が見えない現代社会にあって、答えのない課題に果敢に立ち向かう力を身につけることが大学教育に求められています。本学では、特色ある4つの学部で学ぶ学生たちが生涯にわたって学び続けるアクティブ・ラーナーとしての資質を身につけられるようアクティブ・ラーニングを計画的に導入します。
対話を重視した双方向授業を取り入れるアクティブ・ラーニングの方向性はふたつ。時には教室を飛び出して地域の課題と向き合う行動的学修、ディスカッションなどを通じて意見を交わし、なにより自己との対話を通じて主体的に学ぶ意欲を引き出す参加型学修。これにより学生たちの知的能動性を揺り動かし、深い学びを喚起します。それぞれ100km離れた3つのキャンパスと広島市内中心にあるサテライトキャンパスを舞台として学生の主体的学びを引き出す能動的学修、それが私たちがめざす県大型アクティブ・ラーニングのかたちです。
AP事業推進部会長 馬本 勉
私たちは,県大型アクティブ・ラーニングを「CLAL(Campus Linkage Active Learning)」と呼んでいます。約100キロというキャンパス間の距離は,マイナス面と見られるかもしれません。しかしそれは,相互交流を生み出す「創意工夫の源」となりましょう。繋ぐべきは3キャンパスにとどまらず,サテライトキャンパスも,「県全域がキャンパス」を謳う本学の位置する広島県も,すべてが含まれます。
こうした「キャンパスの結びつき(Campus Linkage)」の中で「能動的な学び(Active Learning)」を創る鍵は,行動・参加することを通じ,物理的・心理的な距離を縮めることでしょう。行動型・参加型への授業改善を進め,CLAL(クラル)にこめられた思いを達成していきたいと思います。