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令和2年 仕事始め式における学長メッセージ

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年1月6日更新

  県立広島大学の全教職員の皆様,あけましておめでとうございます。

 御用始めにふさわしい,爽やかな朝を迎えました。広島,庄原そして三原の各キャンパスにおきまして,一斉に新たな令和2年の活動を皆様と共に元気に開始できましたこと,心から嬉しく思っています。

 さて2年前の同じ新年の挨拶では,干支に係わる表現について私が誤りを指摘されたことからお話しを始めました。記憶されている方もいらっしゃるかと思いますが,簡単に振り返ってみることにします。今年で言えば,干支はねずみという言い方はおかしいということでした。本来干支とは,子丑から申酉戌亥で終わる十二支と十干からなる単語であるからということでした。十干とは,ひのえや,きのえ,さらにかのとなど併せて10種類からなりますので,この十二支と十干の組み合わせた年号を「干支」というのが正しいということになります。したがって今年2020年は,正式に干支と言うことで示すなら,ネズミの子ではなく,庚子(かのえ・ね)と表現するのが正しいということです。

 干支は,日本では室町時代から方角や時間,そして今でも四柱推命占いなどの運勢に関わりを持って使われています。ここで今年の干支であるかのえ・ねの年についてどのような意味づけがなされているかについて,陽明学の研究者で思想家としても有名な安岡正篤(やすおかまさひろ)氏が記した書籍「干支の活学」の内容や,ネット世界をサーフィンして調べてみました。

 その結果,十二支というと動物をイメージとして思い描きますが,これはご存じの方も多いかも知れませんが,一般の方が十二支を覚えるために身近で馴染みやすい動物を割り当てたことに由来したからであって,本来は植物の生長過程を示しているということがわかりました。それでは子はどのような意味をもつのでしょうか。子のオリジナル漢字は孳(し・訓読みでしげ・る)という難しいこの文字に由来し,種子の中に新しい生命のきざしが宿る状態を示しているということです。新たな命のスタートというところでしょうか。それでは十干の庚(かのえ)はどうでしょうか。かのえは,こうとも読めるように更の文字に通じ,更新という熟語からもわかるよう植物の生長が一旦停止し,新たな形に変化しようとする状態を指していると言われています。

 以上2020年にあたる,かのえ・ねについて多くのネット上の解釈も踏まえてまとめた運勢の結果は一様に,「継続を閉じ,そして更なる新たな出発」とまとめることできました。あるネット上のサイトではその根拠材料に,同じかのえ・ねの年にあたる60年前の社会的状勢を例示していました。60年前とは高度経済成長期にあった1960年になりますが,その年に総理大臣に就任した広島県出身の池田勇人氏は,公約として後生にも残る画期的な「所得倍増計画」を打ち出したことを挙げています。従来の経済政策を再整備し,10年間に所得を更に2倍に引き上げるという提案でした。公約通りその後経済の成長は10年以上も続き,1960年は「高度経済成長時代」のシンボル的な年にもなりました。さらにまた同サイトでは,1951年に初めて米国との間に締結された安全保障条約が1960年に更新されたことも取り挙げています。確かに60年安保と言われた再更新について賛否のわれた大きな社会的混乱の中,日本と米国の関係がより密接な方向へと舵をとった年になりました。

 私自身は自然科学を学ぶ者として,星占い,あるいはこうした干支の運勢などの世界には,全く否定的な立場をとりますが,かのえ・ねである2020年が「更なる新たな出発の年」という結論には偶然としか言い様は無いと思いますが,本学が取り組むべき幾つかの取組みを思うと,まさに適宜であるという納得感を感じざるを得ません。

 まっさきに挙げられることは,今までの本学教育実践の総括を踏まえ,本学の教育体制を大幅に更新する年であるということです。ひたむきに学び,国家試験の合格率など数多く確かな学びの成果を挙げている誇るべき本学の学生ではありますが,これからの著しい社会環境の変化,そして予測不可能と呼ばれる未来社会においては,主体的に地域社会の課題解決に立ち向かう実践力と志を持った人材へとさらなる向上が求められることが変革の最大の理由です。私達は全学を挙げた議論により,そうした新たな人材育成のために本学が取り組むべき教育目標を「課題探究型地域創生人材」と設定しました。そして2020年は4月からの学部・学科の再編を通し,この目標遂行に邁進する初年度であることをしっかり,皆様と認識を共有して取り組んで行きたいと考えています。

 そしてもう一つは,本法人に新しい大学を設けるための年にあたるということです。リベラルアーツ系の学問の幅広い学びを基本に,語学力とICTを介したロジカルシンキング,そして産業界や教育機関等と連携した課題解決演習(PBL)によって,グローバルな社会を切り開くコンピテンシーを持った人材を輩出する新大学,すなわち叡啓大学の2021年開設に向かって準備をする最後の年であるということです。

 地域の課題を鋭く捉える感性と実践力を鍛え,「課題探究型地域創生人材」を輩出して地域に寄り添う人材を輩出する現在の学部・学科の再編,そして一方では俯瞰的な視野とPBLを介して世界から地域に至るまで汎用的な社会課題に挑戦する人材を育成する大学,本法人に未来を見据えた対照的なこの2つの特色ある大学が共存することになります。この2つの大学はこれからの社会が最も必要とする分野の人材を補完するものであり,広島県の高等教育機関として未来社会を担う人材を広島,そして国内外に送り出す教育体制が整うことになります。

 さらにこの2020年は,本学にとっての記念すべき歴史的な年であることは既に皆様も把握されていることと思います。すなわち広島県立広島高等女学校,今の広島県立広島皆実高等学校に,本学の源泉とも言うべき,後に広島女子専門学校として独立し,今の広島キャンパスに繋がる家事補習専攻科が建学されてから100周年を迎える年にあたります。その源流のもとに発足した3県立大学,さらには3大学統合による県立広島大学の開学,脈々と地域により添いながら歴史を刻んできました。そうした100年の教育・研究そして地域貢献の歩みの歴史を踏まえ,さらに今,未来を見据えて大きく進化すべき時がやってきました。まさに かのえ・ねが意味する「更なる新たな出発の年」でもあります。この記念すべき年に立ち向かえることに私達は誇りと喜びを感じながら,しっかりと新たな教育体制の構築に取り組み,さらに100年そして200年と続くであろう本学の未来を築いて行こうではありませんか。頑張りましょう。

 最後に,皆様のご理解とご協力をお願いするとともに,お一人お一人のご多幸の年となることを祈念して年頭のご挨拶を閉じたいと思います。 

令和216
                                                     県立広島大学 学長 中村 健一
 


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