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コロナ禍での研究活動

印刷用ページを表示する 2022年5月16日更新

コロナ禍での研究活動を紹介します

研究内容について

私は西上研究室に所属し,痛みの研究をしています。痛みを感じさせる要素の1つに,中枢性感作(Central Sensitization:CS)というメカニズムがあります。中枢性感作は,「中枢神経系において痛覚過敏を誘発する神経信号の拡大」と定義されており,中枢性感作の影響が強いと,通常では痛みとして感じないような刺激でも痛みとして感じるようになると言われています。このような痛みの感じ方をする人は,特別な疾患を有している人だけの話ではなく,一般的な整形外科クリニックの患者さんを対象とした研究で,約25%に及ぶことが報告されています。
過敏な痛みを訴える患者さんへのアプローチとして,理学療法士が一般的に行う運動療法に加え,痛みに関する神経のメカニズムを患者さんに伝える神経科学的疼痛教育(Pain Neuroscience Education:Pne)を行うことが有効であると言われています。ただし,Pneは,介入の方法が統一されていないことや,費用対効果の問題が指摘されています。
そこで,我々の研究では,疼痛教育に関する小冊子を作成し,臨床に即した簡易的な方法で効果的な改善をもたらすかどうかを検証しています。
活動を紹介する学生

コロナ禍中の授業

私の受けた授業は,コロナ禍の影響もあって,ほぼすべてがオンラインで実施されました。コロナ禍の中,単位取得に不安がありましたが,順調に取得できています.
別の研究室の院生の方と直接対面する機会はほぼありませんでしたが,オンラインでの授業を重ねるうちに,取り組んでいる研究や皆さんの立場などが垣間見えました。大学院の面白さの1つである,研究室内の縦の繋がりに加えた横や斜めの繋がりを感じ,楽しむことができているように思います。
勤務先のリハビリ室と臨床業務中の様子

コロナ禍中の研究の進め方

私の場合は,研究の対象者となる方が自分の勤務する施設に来院される患者さんであるため,対象者が集まらなくて困るということはありませんでした。研究計画に関する話し合いは,オンライン上で指導教官に熱心に指導していただき,着実に進めることができました。
また,私の研究の一環で,小冊子を作成する過程がありました。研究費を利用して,外部との金銭のやり取りが必要な場面でしたが,教務部の方に発注のプロセスをサポートしていただきました。コロナ禍の影響で対応が遅れるということありませんでした。
中枢性感作症候群を評価するためのツール

研究の体制

2021年度の西上研究室は,所属する院生が私一人のみでした。これは,西上教授が県立広島大学に着任され,研究室がスタートしたタイミングで私が入学したという背景があります。研究室の授業は,週1回の頻度で,オンラインにて実施されました。研究の進捗を報告し,理解できなかった点の相談やディスカッションを行い,次週までに準備を進めるという流れでした。
オンラインでは十分な研究指導が受けられないのではないか?という心配をする方もおられるかと思いますが,そのように感じたことは全くありませんでした。
実は,私は,以前関西にいた頃にも西上教授に研究の指導を受けていましたが,大学院の授業はこれまでの延長という感覚ではなく,より細やかな指導をしていただいたという実感があります。週1回のマンツーマンの授業はとても贅沢な時間でした。
今回,私が取り組んでいる研究はランダム化比較試験(Rct)という研究デザインであり,対象者の選定や人数設定,介入方法など,実際に患者さんに介入する前の段階がとても重要になります。準備を進める上で,緊密なコミュニケーションを可能にしたのが,TeamsやMessenger(Slack)といったツールでした。次年度からは研究室のメンバーが増える予定であり,研究室メンバーの進捗の把握やスケジューリングを円滑にすることを目的とし,Notionの導入を開始しました。

現在の体制の良い点や工夫している点

自分の取り組み次第で,気兼ねなく指導教官から指導を受けることができることが良い点です。仮に,メールのみで連絡をとるのであれば,コミュニケーションをとるためのハードルがやや高いように思います。
これまで以上に論文を読む機会が増え,パソコンに向かう時間が増えたことから,自宅のデスク環境を整えることに取り掛かりました。疲労を減らし,集中して研究に取り組むために,サブモニターやモニターアームを設置し,デスク周囲には極力物を置かないようにしています。油断するとすぐに論文やメモで散らかってしまうので気をつけています。
自宅での様子

今後,コロナの影響を受けながらも研究を進めるために

もし,この記事を読んでいただいている方で,大学院への入学を検討している段階であれば,大学に足を運ぶ頻度を含めた研究計画を立てることをお勧めします。
また,入学した後は,研究室のメンバーと積極的にコミュニケーションをとるために,Snsやビジネスチャットツールを積極的に活用することが重要であると思います。多忙な指導教官に連絡をとることは気後れする部分もあるかと思いますが,対面で接する機会が少ないからこそ自分の状況をしっかりと伝えることが必要とされます。
さらに,情報収集の場は,研究室内に限定する必要はないと考えています。現状,学会やウェビナーはオンラインが中心であり,幅広い知識の吸収に取り組むのが良いと思います。

ある日のスケジュール

ある日のスケジュールを紹介します。
整形外科クリニックでの臨床業務は,時短勤務にさせていただき,研究活動の時間を確保しています。

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