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【生命科学コース】基底膜タンパク質であるヘミセンチンの可視化を報告(伊原教授)

印刷用ページを表示する 2021年6月25日更新
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伊原教授の研究成果がmicropublication Biology誌に掲載されました。

Ihara, S.
N-terminally endogenous Mkate2-tagged Him-4 in Caenorhabditis elegans. Micropublication Biology. 10.17912/micropub.biology.000386. (2021).

 私達の肌を美しく保つためには、進化的に保存されたタンパク質群から構成される基底膜の働きが重要です。基底膜は、表皮の直下にあるシート状のタンパク質複合体ですが、皮膚の恒常性維持に必須な役割を担っています。例えば、基底膜を構成するタンパク質の遺伝子変異によって表皮水痘症が引き起こされ、また紫外線は基底膜の損傷を引き起こして、シワやタルミといった肌老化の一因となります。基底膜を構成するタンパク質群はその重要性にもかかわらず、生きた状態で観察できる実験系は限られていました。今回の研究では、モデル生物である線虫C. elegansをもちいて、ゲノム編集技術と赤色蛍光タンパク質であるMkate2により基底膜の構成タンパク質の1つであるヘミセンチンを生きた状態で観察できる実験モデルを構築しました。この可視化したヘミセンチンタンパク質を観察した結果、興味深いことに線虫の咽頭基底膜では一様には分布しておらず、前方の基底膜に強く局在することを明らかにしました。
 これまで、基底膜の主要構成タンパク質であるコラーゲン、ナイドジェンなどは基底膜に一様に局在することは分かっていましたが、あたかも基底膜上に極性があるようなヘミセンチンの局在は、ゲノム編集技術を用いたヘミセンチンの可視化によって、初めて明らかになりました。
 今後、この実験モデルを利用することで、老化、日焼けによる基底膜タンパク質の損傷の同定、基底膜の局在を制御する遺伝子のスクリーニング等に応用できることが期待できます。

 本研究で作成されたストレインは、ミネソタ大学にある国際的な線虫ストックセンターであるCaenorhabditis Genetics Center に委託され、世界中の研究者が利用できるようになります。
ヘミセンチンの可視化