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野下教授の論文がNatural Product Research誌に掲載されます。
以下に論文内容を紹介します。
Toshiro Noshita, Tatsuya Sato, Takahito Iwayama, Yohei Yamada and Hidekazu Ouchi. The proposed structures of phenolic compounds isolated from Piper betle L. differ from those of the compounds obtained by total synthesis. Natural Product Research, accepted. (https://doi.org/10.1080/14786419.2020.1739038)
(日本語タイトル:キンマからの単離が報告されたフェノール性化合物の提出構造は誤りであることを全合成によって確認した)
Atiyaらによって強い抗酸化活性と細胞毒性を示す化合物としてキンマ(Piper betle)から単離された化合物は、天然有機化合物として他に例のない新奇なトリエン構造を有するジアリールヘキサノイドと報告されていた。本論文ではHorner-Wadsworth-Emmons反応を鍵反応とする経路とMcMurry反応を鍵反応とする経路の二つの合成経路でこの化合物の全合成を達成した。しかし合成で得られた化合物の機器分析データと、天然から得られたとされる化合物のデータとは全く一致しなかった。部分的に類似した化合物の機器分析データおよび計算化学から予測されるデータとの比較も行なった結果、Atiyaらによる提出構造は誤りであり、その化学構造の再検討が求められる。
(なお、この研究は2019年3月に卒業した岩山昂史君・山田耀平君が進めてくれた研究を2020年3月卒業予定の佐藤達也君が引き継ぎ、完成させたものです。)
なお野下教授は4月より転出されます。