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【生命科学コース】ナノマテリアルC60フラーレンの皮膚細胞への有効性を報告(齋藤教授)

印刷用ページを表示する 2021年3月15日更新
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齋藤教授の論文がJournal of Nanoscience and Nanotechnology誌に掲載されました。

Protective Effects of Polyvinylpyrrolidone-Wrapped Fullerene Against Nitric Oxide/Peroxynitrite-Induced Cellular Injury in Human Skin Keratinocytes

Yasukazu Saitoh, Asuka Tanaka, and Sayuri Hyodo

J. Nanosci. Nanotechnol. 21, 4579–4585 (2021) 

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日本語タイトル:ヒト皮膚表皮細胞におけるNO/ONOO-誘導性細胞傷害に対する水溶性フラーレンの防御効果


太陽に含まれる紫外線、過剰な紫外線は私たちの皮膚にしみ、しわ、発がんなど様々なトラブルを引き起こす原因となります。近年、紫外線照射によって発生した一酸化窒素(NO)やNOから生成されたパーオキシナイトライト(ONOO-)(*1)などの活性窒素種(reactive nitrogen oxide species:RNOS)が皮膚の紅斑、メラニン産生、表皮バリア機能の低下などに関与していることが報じられ、RNOS制御は化粧品開発における新たなターゲットとして注目されています。そこで、齋藤研究室では高い抗酸化作用を持つ化粧品用ナノマテリアル(*2)素材として開発・利用されている水溶性フラーレンC60(*3)に着目し、NOやONOO-による皮膚細胞傷害に対する有効性を検証しました。その結果、水溶性フラーレンC60がNOやONOO-による細胞傷害や細胞内に発生するONOO-を顕著に抑制することを新たに見出しました(図)。今回の発見は、化粧品などへの配合成分として水溶性フラーレンが有効である可能性を示すとともに、RNOS制御という新たな視点からの化粧品開発へも貢献することが期待されます。この研究は化粧品原料メーカーであるビタミンC60バイオリサーチ社(東京都)と本学の共同研究として進められ、卒業生の田中明日香さんが大きく貢献した研究成果が1つの論文としてまとまったものです。

このように庄原キャンパス(生物資源科学部)では、研究活動を通じて新たなシーズ(*4)の掘り起こしや地域や企業等が抱える様々な課題解決のサポートも行っています。また、そういった実用的・実践的な課題に学生が主体的に関わることで、学生自身も大きく成長していくことを期待しています。

 

【用語解説】

*1 パーオキシナイトライト(peroxynitrite : ONOO-):

一酸化窒素(nitric oxide : NO)とスーパーオキシドアニオンラジカル(superoxide anion radical : O2-・)が反応して発生する活性酸素の一種です。生体機能の調節に働く一方で、酸化力が強く、様々な病気の一因になると考えられています。

*2 ナノマテリアル

一般的に、100 ナノメートル(ナノメートルは1 mの10億分の1)以下の物質(素材)を指す。大きさが極小のため、従来とは異なる性質を示すことが知られており、安全性に考慮しながらその特徴を活かした産業利用が検討されています。

*3 フラーレンC60

炭素原子60個で構成されるサッカーボール状の構造をもつ化合物。直径は0.7 ナノメートルほど。抗酸化力に優れているが水には溶けないため、用途拡大を狙って様々な方法での水溶化が試みられており、工業製品だけでなくバイオ素材としても利用が広がっている。本研究では、ビタミンC60バイオリサーチ社が開発した水溶性フラーレンC60を使用した。

*4 シーズ:

 シーズとはいわゆる種。新たな商品や産業を生み出したり、実用化につながると期待される=芽生える可能性のある素材やアイデアのこと。

ONOO

図 水溶性フラーレンC60が細胞内のONOO-(暖色部分)を著しく抑制

SDGs3

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