ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 生物資源科学部 > 【生命環境学科生命科学コース】卒業生の声-福永研の4人の卒業生(後編)

本文

【生命環境学科生命科学コース】卒業生の声-福永研の4人の卒業生(後編)

印刷用ページを表示する 2022年5月10日更新

   前編に引き続き庄原キャンパスの卒業生の声をお届けします。

 今回は、15年目を迎える福永研究室(植物遺伝育種学研究室(旧・植物遺伝資源学研究室))の卒業生4人の声をきいてみました。

 前編・後編にわけてご紹介します。後編でご紹介するのは、松永種苗の藤原あかりさん、愛媛県東温市役所の向成洋平さんです。(前編は北海道立総合研究機構 中央農業試験場の佐藤圭さん、創建ホームの枝芽以子さん)

藤原あかりさん(現・松永種苗株式会社.2017年入学)

藤原さん

藤原あかりさん (現在:松永種苗株式会社. 2017年生命環境学部生命科学科入学 広島県立安芸府中高等学校卒)​

Q 今はどういうお仕事をされていますか?

 種苗会社の研究農場で様々な野菜の栽培・調査・交配などを行い、よりよい品種作出を目指しています。同じ品目でも品種によって姿形や色はさまざまで、触れ合えば触れ合うほど楽しいという気持ちが湧いてきます。

 

Q 庄原キャンパスでの学生時代はどういうふうに過ごされましたか。

 学生時代は、サークルに所属して仲間たちと民族音楽を楽しんだり、飲食店とスーパーの2種類のバイトをしたりしていました。3年生からは卒業研究も始まり、研究室のメンバーと協力しながら色々なことを考え理解し研究材料の栽培や実験を行っていました。

 

Q 庄原キャンパスで学んだことは今のお仕事などにどのようにいかせていますか?

  植物育種学や遺伝資源を扱う研究室にいたので今のお仕事に直結しています。講義や実習、卒業研究で得た、植物の育種や栽培に関わる知識・経験は実際の仕事にも当てはめて使えるもので、仕事の内容を理解したり作業を効率よくしたりするのにいかせています。知っているかどうかによってものの見え方に大きく違いが出るので、仕事に関わる情報を見つけやすくなりましたし、自分の分かっていない事を明確にしやすくなりました。

 

Q 庄原キャンパスで学んで他の県で就職してますが広島への思いは?

  故郷広島を離れ、早くも1年が経ちましたが広島への愛は今も健在です。街中でマツダの車を見かけたり、お惣菜のパックにカタカナ4文字を見つけたりすると嬉しくなります。少し遠い地から、この先も平和であることを願っています。

 

Q 最後に何かひとこと

 庄原キャンパスでの日々は学びも生活もともに充実していて、貴重な経験をさせていただきました。

現在、勤めている会社のインスタグラムでは、面白い品種や仕事の様子などが紹介されています

(松永種苗インスタグラム松永種苗ホームページ松永種苗facebook)。是非訪ねてみてください!

 

 

向成洋平さん(現・愛媛県東温市役所.2009年入学)

向成さん

向成洋平さん(現在: 愛媛県東温市役所 2009年生命環境学部生命科学科入学 愛媛県立伊予高校出身)

Q 今はどういうお仕事をされていますか?

 地元の愛媛県にある東温市役所で勤務しています。現在は入庁3年目で、市民福祉部長寿介護課に所属しています。この部署は65歳以上の市民を対象とした介護保険サービスをおこなっており、私は主に介護度を決める審査会の運営や申請受付業務を担当しています。昨年度は介護保険料の賦課徴収業務を担当していました。今の仕事は、介護を必要とする高齢者が慣れ親しんだ地元で安心して生活を送ることができるようサポートする大切な仕事であるため、毎日やりがいをもって取り組んでいます。

 

Q 庄原キャンパスでの学生時代はどういうふうに過ごされてましたか?

 学部卒業後は大学院に進学し、卒業論文のテーマを引き続き取り組みました。なので学生時代は勉強と研究室での実験に費やしていました。植物の遺伝や形態形成の分野に興味があったので、特に福永先生の植物遺伝資源研究室での実験はとても充実したものでした。実験材料である雑穀のアワにみられる特徴的な表現型に関わる原因遺伝子の究明に関わることができ、良い成績で卒業できたことは誇りです。今でも福永先生と連絡をとっており、ラボキャラのイラストを描いたり、先生から頂く研究の成果の報告が楽しみです。

  

Q 庄原キャンパスで学んだことは今のお仕事などにどのようにいかせていますか?

 現在の仕事は植物、まして遺伝とはまったく関係のない福祉分野なので、勉強したことが直接生かされることはありません。しかし、地道に実験を繰り返してきた研究室での実績から、今取り組んでいることが全体にどのように関わりを持つのか、その意義を明確化することで、単純作業やしんどい思いをする内容であっても乗り切る力を身につけることができたと思います。

 

Q 他の都道府県から庄原キャンパスに来られていかがですか?広島から離れて広島への思いは?

 入学まで庄原市を訪れたことがありませんでしたが、山々の自然に囲まれた素敵な環境だと思いました。個人的に、夕刻のロビーから眺める池がとてもきれいでお気に入りスポットでした。また、友達や研究室ではカープファンが多く、さすが広島だな~!と感心しました。もともと野球に興味がありませんでしたが、今ではカープの活躍が気になってしまっており、気付いたら私もカープファンになっていました。びっくり。

 

Q 最後に何かひとこと

 庄原キャンパスで過ごした6年間は勉強と実験が中心でしたが、その経験が今の私の基礎となっています。成果物だけでなく、その過程での考え方や取り組み方が、今の仕事の意義や私自身の価値観に繋がっているように思います。失敗を恐れず、たくさん学び成長していってください。応援しています。

アワの穂

研究材料としていたアワの穂.かけあわせて遺伝子を調べていました。

ラボキャラ

向成さん作成のラボキャラ.福永研のプレゼンテーションなどによく使用されています。これは2022年正月版.

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 今回は、4人の卒業生の声をきかせていただきました。広島県北の庄原という地でさまざまな出身地の学生が学び、アグリバイオ、広島県の企業、地域行政などのさまざまな分野で活躍しています。他の研究室も同様のことと思います。庄原キャンパスは多様性をもった学びの場といえるでしょう。今回紹介した彼らの学んだ育種学や遺伝資源学の立場からいえば、ひとつの品種や作物だけからなるモノカルチャーは急激な変化に弱いものです。長い目で見れば、多様性は強いレジリアンスを生みます。また、県外から来て地元に戻っても広島カープを応援してるなどの声もきけました。さまざまな土地に広島愛の種子が播かれ広がっています。

 

 なお、今回の4人の方々に限りませんが、福永研では卒論・修論などで行った研究のいくつかは成果として国際誌などに論文としてまとめられています。理系の研究は、まさにアクティブラーニングそのものであり、プロジェクトベースラーニング(PBL)であります。また、広島県内で植物育種学の研究室があるのは、県立広島大学生物資源科学部生命環境学科生命科学コースだけです。

 

以下は今回の4人の皆さんと一緒に研究して国内外の学術誌に掲載されたものです。

・Fukunaga, K; A. Abe; Y.Mukainari; K.Komori; K.Tanaka; A. Fujihara; H.Yaegashi; M.Kobayashi; K.Ito;  T. Ohsako; M.Kawase

 Recombinant inbred lines and next-generation sequencing enable rapid identification of candidate genes involved in morphological and agronomic traits in foxtail millet

 Scientific Reports 12 https://doi.org/10.1038/s41598-021-04012-1  2022年

・Masumoto, H.; H. Takagi; Y. Mukainari; R.Terauchi; K. Fukunaga

   Genetic analysis of NEKODE1 gene involved in panicle branching of foxtail millet, Setaria italica (L.) P.  Beauv., and mapping by using QTL-seq

   Molecular Breeding 36: 1 - 8  2016年

・瀧野佑希; 石田ゆき; 向成洋平; 福永 健二

 アワゲノムシークエンス情報に基づくSSRマーカーの開発と、台湾品種・日本品種の間のF2集団における連鎖地図作成

 生命環境学雑誌 8: 13 - 27 2016年

向成洋平; 鈴木優紀; 福永健二

 アワ[Setaria italica(L.)P.Beauv.]におけるrDNAのマッピング

 生命環境学術誌 6: 9 - 15 2014年

・Hachiken, T; K.Sato; T.Hasegawa; K. Ichitani; M.Kawase; Kenji Fukunaga

 Geographic distribution of Waxy gene SNPs and indels in foxtail millet, Setaria italica (L.) P. Beauv.

 Genetic Resources and Crop Evolution 60: 1559 - 1570 2013年

Sato, K; Y.Mukainari; K. Naito; K.Fukunaga

  Construction of a foxtail millet linkage map and mapping of spikelvet-tipped bristles 1(stb1) by using

  transposon display markers and simple sequence repeat markers with genome sequence information

 Molecular Breeding 31: 675 - 684 2013年

・ Eda, M; A.Izumitani; K. Ichitani; M. Kawase; K.Fukunaga

  Geographical variation of foxtail millet, Setaria italica (L.) P. Beauv. based on rDNA PCR-RFLP

  Genetic Resources and Crop Evolution 60: 265 - 274 2013年

 

最近の福永研関連記事

【生命環境学科】Scientific Reportsに論文掲載  -福永研究室

【プレスリリース】雑穀・アワの多様化と分布拡大に関わる候補遺伝子の同定― Scientific Reportsに掲載

 学生によるキャンパスライフの紹介【福永研究室】