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主な担当科目 :児童・家庭福祉
研究キーワード:子どもの貧困 子どものウェルビーイング
趣 味 :フットボール観戦(プレミアリーグ)
学部生の頃、長期休暇の度にバックパックを背負って主にアジアの国々へ旅行に出かけていました。その中でいわゆる「ストリートチルドレン」と呼ばれる子どもたちの姿がとても印象に残っており、自分に何かできることはないかと考え、幾度か現地でのボランティア活動に参加しました。ボランティア活動で出会った現地のある学生から「日本には貧しくて、学校に通えない子どもは一人もいないのか?」と聞かれたことがありました。それまで考えもしなかった問いにとまどい、うまく答えることができかったことを覚えています。あの学生からの問いの答えを追い求めているうちに、社会福祉学という学問を足場に、日本の「子どもの貧困」について研究するようになりました。
もともとは、上記の学生からの問いの答えを探そうと、(日本の)「貧困家庭の子どもの不登校」についての研究に取り組んできました。しかし、研究を続ける中で、貧困家庭の子どもが直面している困難は不登校に限らず、すごく多岐に渡ることを知り、不登校はあくまでも貧困によってもたらされる様々な困難のうちの一つなのだと考えるようになりました。
現在では、貧困家庭の子どもたちが直面する困難を(身体的・精神的・社会的によい状態を意味する)「ウェルビーイング」という観点から捉え直し、子どもたちのウェルビーイングに貧困が及ぼす影響を多角的かつ客観的に明らかにしようと、計量的な実証研究に取り組んでいます。
是枝裕和監督の「誰も知らない」や「万引き家族」、「ベイビーブローカー」などの作品は、社会の周辺へ追いやられた人々の生活や心情を淡々と描き出しており、「福祉の敗北」を痛感させられます。そうした作品だからこそ、「福祉」とはなにか、「社会」とはなにか、を考えるきっかけになると思いますので、ぜひご覧ください。