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この記事では、不定期で生命環境学科環境科学コースの卒業生の声をお届けします。
今回は、公立高等学校教諭として活躍されている坂井翼さんです。西本研究室(無機化学分析)で学んだことを生かして、お仕事をされています。
私は現在、公立高等学校で理科(主に化学)の教員として働いています。教員の仕事は、授業などの教科指導に加えて分掌、学年、部活、担任としての学級経営など多岐にわたり、日々忙しく過ごしています。しかし、どの仕事もその根底には常に「生徒」がいて、彼らが日々成長していく姿を一番近くで見ることができ、とても大きなやりがいを感じています。高校生活3年間という生徒にとって一生に一度の大切な時間を共有できるこの仕事に就いて良かったと、日々実感しながら過ごしています。
大学では、環境科学科で「環境」について深く学びました。化学という学問は我々の日常生活と大きく関わっています。私が教科指導をする際、1番意識していることはこの学問と実生活とのつながりです。どんな内容も、自分たちにとって身近でなければ興味を持ったり、記憶として定着したりすることは難しいので、今学習している内容が、日常生活のどんなところと関連しているのか、話をしたり、考えさせたりと、生徒の言語活動や思考を取り入れながら授業をしています。大学で、理科の観点から環境について学んだ経験は、現在の私の授業に大きく活かされています。また、大学での学びを通して「多角的に物事を考える」ことの大切さを感じました。環境問題の多くは、これが正解といった解決策はありません。ある部分にとってのメリットを優先すると、別の部分に対するデメリットが生じてしまいます。このように、ある一面だけを捉えて物事を判断するのではなく、常に複数の視点に立って物事を考える習慣は、仕事以外にも人間関係や私生活などあらゆる場面で活かされていると感じています。
私は高校生のときから理科の教員を目指していて、大学では理科と自分の身のまわりで起こる現象のつながりを深く学びたいと考えていました。そこで、興味を持ったのが「環境」という分野でした。日々テレビや新聞などで目にする環境問題について、その背景にはどのようなことがあるのか、環境という分野の本質について学んでみたいと思い、中高理科の教員免許が取得できる本学科を志望しました。
大学生活では1・2年生のときは授業終わりや空きコマの時間に友達とご飯を食べたり遊びに行ったりしていました。友達の家に集まって夜遅くまで一緒に勉強したり、話をしたりしたことはとても思い出に残っています。3年生になって研究室に配属されましたが、新型コロナウイルス感染症によって休講からのスタートになりました。授業もすべてオンラインになり、友達にもなかなか会えない日々が続きました。家で一人で過ごすことが増えたので、この時間を使って私は本格的に教員採用試験の勉強を始めました。ずっと一人で勉強をしていると息詰まることも多く、何気ない友人とのコミュニケーションが自分にとって大切な時間だったのだと改めて実感しました。一方、読書など普段なかなかできなかったことにも時間を使うことができ、今ではあの期間は自分にとって大きな意味を持つ時間になったと感じています。4年生になると研究室に加えて教育実習や教員採用試験と忙しい日々を過ごしました。特に、採用試験が終わってからは、ほとんどの時間を研究室で過ごすようになりました。同級生と協力・試行錯誤しながら実験を進めたり、夜遅くまで研究室で友達と話をしたりととても充実していました。大学を卒業した今でも、仲良くできる友達もできて本当に楽しい大学生活でした。
私は大学在学中にコロナ禍を経験し、「当たり前」の生活を当たり前に過ごすことができるのは、とても幸せであるということを実感しました。そして、不自由に感じる生活や境遇だとしても、過ごし方次第で自分のプラスに変えることができると身をもって経験しました。「すべては自分次第」です。思い描く未来で輝くためのスキルを、ぜひこの県立広島大学で磨いてほしいと思います。
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生物資源科学部生命環境学科環境科学コースの西本研究室では無機分析化学の研究をしています。ご関心のある方はぜひウェブサイトをのぞいてみてください。