【地域資源開発学科】荻田教授のインタビュー記事が学会誌に掲載されました
本記事は,日本化学会の会誌「化学と工業」に掲載されます
知ればきっと飲みたくなる 美味しいデカフェコーヒーができるまで
もとからカフェインをもたないコーヒーノキ(コーヒーの木)が作れないかとバイオ研究によるアプローチも行われてきた。 県立広島大学の荻田信二郎教授は 2003 年(当時は奈良先端科 学技術大学院大学 研究員),RNA干渉という遺伝子発現抑制技術を用いて,カフェインの生合成(図の経路(3))に関わる酵素の働きを抑制することによって,遺伝子組換えのカフェインレスコーヒーノキを作出し,Natureに発表した(Ogita et al., 2003)。当時は世界中でカフェインを含まない遺伝子組換えコーヒーを作ろうと研究が盛んに行われたが,それは実現せず,荻田教授が作出したカフェインレスコーヒーノキも花を咲かせたものの,結実まではいかなかった。
「今なら技術的に十分実現できると思います。ただ,当時はヨ ーロッパを中心に遺伝子組換えに対する風当たりがかなり強く,また,デカフェコーヒーという限られた市場で本格的に事業化しようという動きになりませんでした。今はゲノム編集の技術もありますし,社会的に受け入れられる素地はできていると思います」と荻田教授は言う。・・・