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「発達障害治療学」の授業を紹介させていただきます.
発達領域の作業療法では,2年次後期に「作業療法評価学Ⅱ」として,発達領域の作業療法の対象となる子どもと家族のための評価を学び,3年前期に今回ご紹介させていただく「発達障害治療学」.そして,3年後期に,多様な実習を含む「発達障害治療学実習」を行う流れでカリキュラムを進めます.
また,選択科目になるのですが,作業療法の理論の一つ,「感覚統合療法特論」という科目があり,神経発達症のある子どもの感覚統合療法を用いた視点について学びます.
「発達障害治療学」では.まず「人間発達学」という人の発達の復習を行います.現在は学生のみなさんも日本で少子化が進み始めた時期に生まれており,幼いきょうだいや赤ちゃんと関わった経験がない学生がほとんどです.そのため,以前であれば「十月十日」で赤ちゃんが産まれてくることや,実際に何ヶ月くらいにお座りができるといった,一般常識的な知識も,経験がないため学習として学ぶ必要があります.
授業では,乳児の発達を復習しつつ,看護学コースより新生児の人形をお借りして,新生児のサイズ,抱っこの際で気をつけることなど模擬的に体験し,ご家族の子育ての大変さも検討します.
大学の新生児の人形は紙オムツを履いているのですが,ほとんどの学生が初めて紙オムツに触れます.人形なので,首が座っていない新生児がイメージしにくいのですが,哺乳瓶でミルクを与えることを想定して,頭部を守りながら抱っこするなど確認しました.作業療法では「子育て」する家族の支援も重視しています.安全で楽しい子育てになるよう,これらの体験が最初の基盤になって欲しいと考えています.
また,授業では運動することに障害をもつ子どもを想定して学習を進めます.運動器の障害で多いのは,脳性麻痺をもつ子ども達です.また,事故による上・下肢の切断,筋ジストロフィーや二分脊椎など,運動器の障害の種類に応じて学習し,その後,小学校への修学を想定したグループワークを行いました.車椅子のタイプの違い,歩行時に利用する杖や装具,これらは子どもの学校参加を助けますが,安全管理がまだ自身のみでは難しい年齢にあるため,教室で,どのように子どもが過ごすか,街路を移動するときはどうするかなど,実際に車椅子や杖などを利用し,検討してもらいました.
グループワーク後に,全体で子どもの体を触って支援するときの注意事項などを,実技で確認しました.
運動器に障害のある子どもは首が座っていても不安定なことが多いので,頭部をどうサポートした方が良いか.また,麻痺によって,発達期に歩行する経験が少ないと,股関節が脱臼しやすくなるため,座った姿勢で骨盤と下脚がどのような位置関係にあった方が良いか.解剖学の学習は終わっていますが,実際の人を触って骨盤の位置を確認するのは学生にとってとても難しいですし,多分,授業の経験だけでは難しいでしょう.これらは最初の一歩で,この後経験する,臨床実習などで,実際に作業療法士として働く現職に先輩方と,お会いする障害のある方のご協力を得て,検討する力がついていくのだろうと思います.
発達障害のある子どもの作業療法は,授業最終回で,概論や学校教育における作業療法について学び,この後,「感覚統合療法特論」や後期の「発達障害治療学実習」で,学びを深めます.
当然のことながら発達領域というと,定型発達の子どもから多様な障害のある子ども,そしてその家族,関係機関として学校や施設など,すべてが対象となります.大学生の内,すべて学ぶことは難しいですが,基本を理解し,応用できる力をつけられるように進めています.
子どもが少ない時代ですが,子どものダイナミックな発達的な変化はとても面白いです.求められる作業療法も幅が広いので,アクティブに学びを深めてもらいたいと思います.
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