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【生命科学コース】新たなモデル植物・エノコログサについての総説論文(福永教授)

印刷用ページを表示する 2021年2月8日更新
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福永教授の論文が、日本雑草学会発行の和文誌・雑草研究にOnlineで掲載されました。

福永健二・大迫敬義

モデル植物となったエノコログサ―その雑草生物学への適用

雑草研究 65 巻 4 号 p. 140-149  

DOI https://doi.org/10.3719/weed.65.140

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【解説】

 生命環境学科生命科学コースでは、さまざまな生物を用いて基礎から応用に至るまで幅広い研究が行われています。近年はゲノム解読が盛んに行われるようになり、これまで研究されていなかった生物が、「モデル生物」(*1)として用いられるようになりました。

  福永教授は、京都府立大学生命環境科学研究科の大迫敬義准教授と総説「モデル植物となったエノコログサーその雑草生物学への適用」を執筆しました。われわれが道端で目にするエノコログサ(ネコジャラシ)は、雑穀アワの祖先野生種であることに加え、C4植物であり、生活サイクルが早く、小さくて育てやすいなどのこともあり、ゲノムの解読が詳細に行われ世界中の研究者の実験材料となり始めています。C4光合成(*2)の基礎研究からトウモロコシやソルガムやスイッチグラス(*3)のようなバイオエタノール植物のような近縁種への応用まで幅広い研究が繰り広げられています。

 本稿は、日本雑草学会の和文誌「雑草研究」に掲載され、雑草の生理・生態や防除につながるような研究にも有用であることを、ここ数年のエノコログサをめぐる目覚ましい研究動向をふまえつつ、解説しています。

 福永教授と大迫准教授は、アワとエノコログサの違いを決める遺伝子や自然選択や人為選択で変化した遺伝子の進化さらにはエノコログサの海岸生態型ハマエノコロの適応進化の研究を行っています。

 作物の品種改良に関わる遺伝子や植物の適応進化に関わる遺伝子などの基礎研究を通じて幅広い植物に応用可能な研究を目指しています。

 このように庄原キャンパスでは、他ではそれほど行われていないユニークな実験材料を用いて研究が行われています。詳しくは、「生命科学科いきもの発見!」を参照してください。

 

 

*1  生物学(特に分子生物学)及びその周辺分野において、普遍的な生命現象の研究に用いられる生物をさします。飼育・栽培が容易であることや一世代が短いこと、ゲノムサイズ(遺伝情報量)が少ないことが望ましいです。例としては大腸菌やセンチュウ、酵母、ショウジョウバエ、マウスなどがあげられます。モデル植物としては、シロイヌナズナ、イネ、ミヤコグサ、ミナトカモジグサなどが代表的なものですが、これにエノコログサも加わりました。

*2 光合成の炭酸固定で、通常のカルビン・ベンソン回路に加えてC4回路をもつ植物をさします。バイオマス生産量が多い、トウモロコシやソルガムやサトウキビ、アワなどの雑穀類が含まれます。これらと違い植物体の小さいエノコログサは実験材料として扱いやすいためにモデル植物となりました。

*3 学名 Panicum virgatum  アメリカ大陸原産のイネ科の多年生草本です。アメリカではバイオエタノール用作物としての研究が進んでいます。イネ科キビ亜科の中で、エノコログサとは比較的近い関係にあり、エノコログサやアワのゲノムを解明することにより品種改良を進めようとしています。

エノコログサ

図1 路傍に自生するエノコログサ

関連する福永教授の日本語総説

・アワの起源と作物進化 雑草ネコジャラシはどのようにして雑穀アワになったのか? 化学と生物55(2) 98-104 2017年 (アワの起源や作物進化についての総説)

・モチ性穀類の起源 モチの文化誌とモチの遺伝子 育種学研究21: 1-10 (穀物のモチ性について。人為選択により機能が失われるWx遺伝子の進化についての総説)

・トウモロコシの起源-テオシント説と栽培化に関わる遺伝子 国立民族学博物館調査報告84 137-151 2009年 (作物の栽培化(domestication) についての総説)

 

分担執筆図書

・『雑穀の自然史-その起源と文化をもとめて』(山口・河瀬編) 北海道大学図書刊行会    

 2003年

・『地球の処方箋―環境問題の根源に迫る』(総合地球環境学研究所編)昭和堂 2008年

分担翻訳図書

・『農耕起源の人類史』 P. ベルウッド (佐藤・長田監訳) (P. Bellwood, First Farmers: The Origins of Agricultural Societies, 2005) 京都大学学術出版会 2008年

など

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