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渡辺 眞澄(わたなべ ますみ)

印刷用ページを表示する 2022年4月1日更新

研究者紹介

所属:保健福祉学部 保健福祉学科 コミュニケーション障害学コース 職位:教授 学位:博士(学術)

研究室:県立広島大学三原キャンパス3507号室

E-mail:masumi-w@(@の後にドメイン画像を付けて送信ください)

研究内容:https://researchmap.jp/mawatanabe

研究に関する自己PR

失語症者と健常者の言語・意味に関わる認知メカニズムの研究を行っています。失語症では、言語のいろいろな側面に障害が出現します。例えば、文の要である動詞の使用、漢字語や仮名語の読み、意味処理の遂行、などに困難を示します。失語症に対する言語介入を効果的に行うには、言語・意味障害のメカニズムを明らかにする必要があり、その基盤を築くため、健常者、失語症者を対象に研究を行っています。

研究テーマ

失語症者と健常者の言語・意味の認知メカニズムに関する研究。具体的には、(1)動詞活用に関する研究、(2)仮名語音読における意味の影響、(3)意味能力の評価法の開発、ほかを行っています。将来的には失語症を含む脳損傷例における障害の介入法についての研究につなげたいと考えています。

研究の特徴・内容

言語・意味の処理には、言語学的な要因以外に、語の表記の仕方(表記妥当性)、語の出現頻度、意味情報(心像性)、その他の要因に大きな影響を受けるため、これらを厳密に統制した上で実験を行っています。また言語が他の認知機構とは独立なモジュール「規則」と「レキシコン」により処理されるとする立場ではなく、文字/音韻/意味情報がinteractiveに影響を与え合い処理されるという認知科学的な立場から研究を行っています。こうしたアプローチをとる研究は、わが国には少ないため、まず健常者を対象とする研究から始め、そのあとに失語症者を対象とした研究を行っています。 

受験を検討している方々へ

私たちは、日常、特に意識せず、また特別な努力感もなく、いわば自動的にことばを発話し理解しています。もし言語が単純で自動的なら、脳損傷により失語症になった人に、スパルタ式に、何度も何度もことばを聞かせ発話して貰えば、失語症は良くなるでしょうか?答えは「否」です。自動的=単純とは限りません。脳の働きのなかで、言語や思考は最も高度に発達した機能であり、脳の最後のフロンティアとも言われます。最近の研究の進歩でいろいろなことが分かってきたとはいえ、言語や言語障害は未知の部分が多く、チャレンジングな研究領域です。

「蛸を食べた」、「蛸が食べた」は一音違うだけですが、意味は大きく違います。この違いは、助詞の「を」が食べられた方を、「が」が食べた方を表す、と説明することも可能です。では「蛸が食べられた」の「が」はどうでしょう?この例のように助詞一つをとっても、その機能を統一的に解釈するのは簡単ではありません。失語症の人では、助詞の障害が現れたりします。例えば、「おじいちゃんの生きてる時が使ってたお部屋あるし・・・」と発話したりします。おそらく「おじいちゃんの生きてた時に使ってたお部屋があるし」と言いたかったのでしょう。文法障害(失文法)があると、助詞の誤りが生じることがあります。

失文法では、動詞活用の誤り(生きてた→生きてる)なども生じます。日本語では、動詞にいろいろな単語(形態素)が後続し、形態素毎に決まった活用形が使われます。動詞活用が単純な英語に比べると、丁寧形、否定形、命令形、仮定形、過去形・・・と多岐にわたる活用形があり非常に複雑です。動詞は五段動詞と一段動詞に分けられますが、過去形では、五段動詞はさらに細分化され、活用形が異なります。日本語の動詞活用はわからないことが多く、さらに研究が必要です。

失語症では読み書きも障害を受けます。健常者には漢字より仮名の方が簡単ですが、失語症では必ずしもそうではありません。また言語だけではなく、意味障害がある場合もあります。私は、現在、文の要となる動詞の研究のほか、読みの研究、意味障害を検出する検査の開発を行っています。このような研究を通して、訓練効果の高い治療法開発が行えると考えています。

連携協力を検討している方々へ

以下をご参照ください。

https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201301056387489521

論文リスト

    著書

      専門資格

      言語聴覚士

      キーワード

      失語症、健常者、動詞活用、仮名語の音読、意味障害の評価法 

      関連するSDGs項目

      SDGS3SDGS4


      所属別一覧