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県立広島大学大学院総合学術研究科保健福祉学専攻博士課程後期3年の友岡佑太さん(福岡整形外科病院リハビリテーション科)と、同大学、指導教員である西上智彦教授らの研究グループは、人工膝関節全置換術を受けた患者さん285名のデータを解析し、術後6か月時点の「膝の感じ方」の異常(身体知覚異常)が、術後1年時点の動作時および安静時の痛みの強さと関連することを報告しました。本研究成果は、疼痛研究分野を代表する国際学術誌であり、国際疼痛学会(IASP)の公式学術誌である「PAIN」でオンライン公開されました。
1 研究のポイント
・手術前から術後1年までの膝の痛みと身体知覚を評価し、一人ひとりの経過の中で、両者が時間的にどのように関連するかを検討しました。
・患者さん同士の持続的な違いを分けて解析した結果、術後6か月時点の身体知覚異常と、術後1年時点の動作時痛・安静時痛との間に有意な正の関連が認められました。
・術後の痛みを理解するうえで、「膝をどのように感じているか」に着目する意義を示す結果であり、身体知覚の評価や介入に関する今後の研究につながることが期待されます。
2 研究の背景
人工膝関節全置換術は、変形性膝関節症による痛みや機能障害の改善を目的とする手術です。一方で、手術後も痛みが長く続く患者さんがおり、その背景を理解し、適切な支援につなげることが課題となっています。
近年、痛みとの関連が注目されているのが「身体知覚異常」です。これは、「膝が自分の身体の一部ではないように感じる」「膝の位置が分かりにくい」「膝が通常より大きく、または小さく感じられる」など、自分の身体に対する感じ方の異常を指します。
これまで、膝の痛みと身体知覚異常が同じ時点で関連することは報告されていましたが、どちらが時間的に先行するのかは十分に分かっていませんでした。
そこで本研究では、膝の身体知覚異常を評価する質問票「Fremantle Knee Awareness Questionnaire(FreKAQ)」を用い、手術前から術後1年までの膝の痛みと身体知覚異常との時間的な関連を検討しました。
3 研究の結果
人工膝関節全置換術を受けた患者さん285名のデータについて、患者さん同士の持続的な違いと、一人ひとりの経過に伴う変動を分けて解析しました。その結果、術後6か月時点の身体知覚異常と、術後1年時点の動作時痛・安静時痛との間に有意な正の関連が認められました。
この結果は、術後の痛みを理解するうえで、痛みの強さに加えて「膝をどのように感じているか」にも着目する意義を示しています。ただし、本研究は両者の時間的な関連を示したものであり、身体知覚異常が痛みの原因であることを証明したものではありません。
今後は、身体知覚の評価が術後の経過の把握に役立つか、また、身体知覚に着目した介入が痛みの軽減につながるかについて、さらなる検証が期待されます。

4 論文情報
掲載誌:PAIN
論文名:Temporal associations between pain intensity and disturbed body perception after total knee arthroplasty: a random-intercept cross-lagged panel model analysis
著者:Yuta Tomooka, So Tanaka, Akira Mibu, Masahiro Manfuku, Hirofumi Yamashita, Shuhei Ishida, Keiko Yamada, Masami Tokunaga, Benedict M. Wand, Tasha R. Stanton, Tomohiko Nishigami
DOI:https://doi.org/10.1097/j.pain.0000000000004107
5 問合せ先
所 属:県立広島大学 保健福祉学部 保健福祉学科 理学療法学コース
担 当:教授 西上 智彦(にしがみ ともひこ)
電 話:0848-60-1120
メール:tomon@pu-hiroshima.ac.jp
