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【生命科学コース】天然化合物およびその類縁体による皮膚細胞防護効果(論文掲載)

印刷用ページを表示する 2025年6月11日更新

​生命科学コース、細胞機能制御学研究室(齋藤教授)の皮膚科学に関する研究成果が、ドイツの学術雑誌Naunyn-Schmiedeberg's Archives of Pharmacologyに掲載されました。

【発表論文】

Resveratrol polysaccharide is less cytotoxicity and inhibits UVA-, UVB-, and tertiary butyl hydroperoxide-induced injury in human keratinocytes.

https://link.springer.com/article/10.1007/s00210-024-03749-6

日本語訳:レスベラトロール多糖体は細胞毒性が少なく、ヒト皮膚細胞において紫外線A波(UVA)、紫外線B波(UVB)、tertiary butyl hydroperoxide (*)によって誘導される細胞傷害を抑制する

掲載雑誌名: Naunyn-Schmiedeberg's Archives of Pharmacology 2025 398(6):7377-7387.

著者: Yasukazu Saitoh, Shizuka Kanawa, Tsugumi Nohara, Ryoko Yamaguchi, Arisa Wakita, Chinatsu Ikeda, Hiroki Hamada

 

【解説】

 細胞機能制御学研究室(齋藤教授)では、研究テーマの1つとして皮膚医療や化粧品に応用可能な化合物の探索・評価を行っています。本研究は天然化合物の誘導体合成を得意とする岡山理科大学名誉教授 濱田博喜​先生との共同研究で、レスベラトロールで知られる様々なスチルベン化合物やそれら誘導体を用いて皮膚細胞への細胞毒性や有効性について検討したものです。論文では複数のストレス曝露刺激に対する9種類のスチルベン化合物の影響をそれぞれ検討し、レスベラトロールに複数の糖が結合したレスベラトロール多糖体が低細胞毒性かつ、紫外線A波、紫外線B波、脂質過酸化誘導剤による細胞傷害に対して優れた防御効果を示すことを新たに見出しました。これらの結果から、レスベラトロール多糖体が今後、​化粧品等の成分として応用されていくことが期待されます。論文には研究に貢献した細胞機能制御学研究室の学部卒業生5名(金輪さん、野原さん、山口さん、脇田さん、池田さん)も共著者として名を連ねています。なお、本研究の一部はJSPS科研費20K11627, 23K10922および県立広島大学研究成果発表助成のサポートを受けて実施されたものです。

tertiary butyl hydroperoxide 細胞に脂質過酸化を引き起こすストレス誘導モデル剤

Fig

(写真)レスベラトロール多糖体が皮膚細胞の脂質酸化を抑制した様子

(解説)細胞内の緑色蛍光が濃いほど、細胞内脂質が強く酸化されていることをあらわしています。脂質の過剰な酸化は、細胞機能の障害や細胞死などを引き起こし、様々な疾患につながることが知られており、写真からレスベラトロール多糖体が皮膚細胞の脂質過酸化を顕著に抑制していることが分かります。