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西田征治 (教授,作業療法士) 身体・老年作業療法学
認知症の人と家族が生き生きと心豊かに暮らせる社会づくりに貢献する研究と地域支援活動を行います!
西田ゼミでは,認知症の人が生き生きと心豊かに暮らせる社会づくりに貢献するため,臨床研究と地域活動に取り組んでいます.ゼミの特徴は学生が一丸となって,実際に地域や病院に出かけ調査や介入を行うことです.
(2023年度の取り組み)
3名のゼミ生がそれぞれの研究テーマに従って,協力し合いながら研究を推進しています。一人目は,認知症の人を介護している家族に対してZOOMを用いたオンラインカフェを月に1回20時~21時まで開催し,その効果や課題について検討しています。オンラインカフェを開催する前には喫茶店で説明会を開催しました。現在,結果的に5名の方が参加してくださっています。二人目は,認知症の人を介護している男性家族会の参加者にインタビューを行い,男性ばかりであることの利点や課題を調査しています。三人目は,全国の認知症治療病棟にアンケートを配布し,認知症の人が自宅に帰るための取り組みについて実態を調査しています。このように学生は,地域の中の問題や課題について考え,その解決策を見つけるためのフィールド研究を推進しています!
(2022年度の取り組み)
3名のゼミ生が在籍していました。一人目は,認知症カフェに参加されている方を対象に「遊び回想法」と「会話回想法」をしているときの状態の違いをA-QOA(アコア)を使って検討しました。A-QOAは私たちが開発した認知症のある人が活動をしているときの状態や活動をしているときの結びつきの強さを評価するツールです。二人目は,認知症の人を地域で支えるボランティアである「チームオレンジ」の取り組みを積極的に行っている市町の行政の方にインタビューして情報を集め,作業療法士の活躍の機会について検討しました。三人目は,認知症のある人が地域や社会に貢献する活動を積極的に行っている通所施設の作業療法士や認知症のある人にインタビューを行い,「はたらくこと(有償・無償の貢献活動)」の効果や意義をまとめました。学生は認知症のある人が通所施設の作業療法士のサポートを得ながら地域の人たちに貢献する活動をすることで「認知症になってよかったと思えるようになった」という言葉を聞き,感動しているようでした。
(2021年度までの取り組み)
2021年には,3名のゼミ生が認知症のある人を介護する方を対象として家族教室を開催し,その効果を検証したり,祖父を元気にする訪問活動を試みたりしました。
2020年には,3名のゼミ生が大学祭で認知症の方とそのご家族様と一緒にレモンカフェをオープンしてその意義や運営の課題を検討したり,認知機能を刺激するために独自に作成した冷蔵庫在庫管理セットの効果的な使用方法を探索したりしました。
2019年には,4名のゼミ生がユニットケアを取り入れた認知症デイケア施設や、広島市の若年性認知症のある人の集いの場を訪問し、取り組み内容,意義や課題を調査しました。また、誰もが気軽に立ち寄れる場として,近年注目されているコミュニティカフェについて,活動を継続するための秘訣や工夫を調査するため京都・福岡・東京のコミュニティカフェを訪問し調査を行いました。これらの調査で得た情報をもとに、実際に三原市内にコミュニティカフェ(音なりカフェ)を開設し,その意義や課題を検討しました。
2018年以前には,沖縄の若年性認知症の方を対象とした認知症カフェを訪問し,参加を促す促進因子や,ブレーキをかける制限因子を調査しました。また,実際に認知症カフェの運営を支援しその効果を検証したり,病院デイルームの環境を作業との結びつきが促進されるよう変えることで認知症の人の幸福感がどのように変化するかを検証しました.これの研究成果は,卒業後に学術論文として専門雑誌に投稿したり,学会発表したりしています。
年度 | 研究テーマ |
2023 |
オンライン家族カフェの試み-効果や課題の探索-(仮) 認知症の人を介護する男性家族会の意義と課題(仮) 認知症治療病棟における自宅退院支援の実態-全国アンケート調査からの分析―(仮) |
2022 |
チームオレンジにおける作業療法士の貢献の可能性-混合調査法を用いた活動内容の調査から- 認知症の人が通所施設ではたらくことの意義・効果 -インタビューとウェブを用いた混合調査- 認知症のある高齢者を対象とした会話回想法と遊び回想法の活動の質の違い |
2021 |
祖父を元気にする訪問の試み-元気になる活動の探索- 作業に焦点を当てた認知症家族教室の効果検証 ダブルケアを行う不安の強い女性に対する認知症家族教室の影響 |
2020 |
レモンカフェの試み~認知症高齢者にとって望ましい運営方法の探索~ 認知症高齢者がレモンカフェに参加する意義 冷蔵庫在庫管理セットの効果的な使用方法の探索 |
2019 |
ユニットケアを取り入れた認知症デイケア施設の利点と課題 若年性認知症を持つ人が集いの場に参加することの意義 3 年以上活動を継続しているコミュニティカフェの特徴 コミュニティカフェの試み ~音なりカフェにおける成果と課題 |
2018 |
興味・関心のある活動を基盤にした認知症予防教室の実践の効果 家族が認知症者の日常生活の遂行能力と尊厳を高めるために必要な要素 軽度認知症を持つ人のもの忘れによる生活上の問題が生起しないようにするための方略の探索 ものづくり健康促進サポーター派遣事業運営における成果と課題 |
2017 |
多職種連携による認知症高齢者への興味ある活動の提供と家族教育の有効性―事例報告― 認知症高齢者の興味ある活動を家族とともに支援する介入―事例を通した有効性の検討― 認知症介護者の負担軽減を図る在宅介護の工夫ときっかけ |
2016 |
認知症カフェの参加を促す要因と抑制する要因の探索 認知症治療病棟の移乗介助の負担軽減を目指した認知的アプローチの試み |
2015 |
認知症カフェが利用者に与えた影響 ―家族3名の語りの分析― 認知症治療病棟における作業に基づく環境への介入が認知症者の行動と状態に与える影響 |
大学院(博士課程前期)では,主に身体障害者や老年期障害のクライアントに対する作業療法の治療法や評価法の開発を目指した研究を行っています.総合病院,精神科病院や訪問看護ステーションに勤務している作業療法士を大学院生として迎え,下記のテーマに取り組んでいます.
年度 | 研究テーマ |
2023 |
認知症の人と家族の作業を基盤にした共同意思決定を支援する作業療法士の支援プロセス(仮)/志田原千晶 活動の質評価法(A-QOA)の実装性の検証(仮)/綾里穂 |
2022 |
活動の質評価法(A-QOA)の基準関連妥当性の検証/山本奈美江 活動の質評価法(A-QOA)の信頼性の検証/白石壯太 |
2021 |
在宅生活を送る脳卒中の家族介護者に必要な介護技能の探索/大西優美 |
2020 | 認知症者の日常活動への参加を促すために家族介護者に必要とされる要素の探索と構造分析/春原渓菜 |
2019 |
社会資源の少ない地域に対する認知症予防教室の実践効果の検証/田畑辰也 |
2018 |
大腿骨近位部骨折後の学際的チームによる周術期のせん妄予防プログラムの開発/斉藤隆一 認知症治療病棟における認知症患者への多職種連携による早期在宅復帰プログラムの開発/坂本千晶 |
2017 |
急性期脳卒中患者に対する作業基盤の実践の適応と意味の探索(仮)/池内克馬 |
2016 | 橈骨遠位端骨折患者に対する認知戦略を用いた治療プログラムの効果/二宮享介 |
神戸学院大学,佛教大学の研究者と共同し,認知症の人の尊厳を高める家族教育プログラム,活動の質評価法(A-QOA)の開発研究を進めていいます.
研究業績は,研究者紹介(西田征治)を参照してください。